No.628

花が降る、この世の花が、白に降る、星に降る、こどもの頃に。そう。あなたを夢だと疑わなかった。だって、ちっぽけな僕にとって、こんなに早くこんなに素敵なものがあらわれるはずはないんだ。不思議で、不気味で、不可解だった。この先どんなものを差し出さないといけないんだろう。生きていくのがやになるくらいさ。だけどあなたはそこにいて、ときどき笑いかけてくれさえした。転機が訪れたのはある雨の朝、僕は子どもでもなく大人でもなかったが、あなたはずっと大人だった。それなのに僕が優位に立ったんだ。ささやかれていたんだよ、取り上げられる前に壊してしまえ。失う前に奪ってしまえ。嫌われる前に傷つけてしまえ。捨てられる前に忘れてしまえ。その声が消せなかった。そして実行した。相変わらず春が来て夏が来て秋が来て冬が来てまた春が来る。それを七回繰り返した頃。僕はついにあなたに追いついて、いま、すべての色を目に映せるよ。こんな色をしていた。怖がらせてごめんな。これからは大切にする。あなたは自分が加害者のように言うけれど、嘘だ。あなたが僕を大切にしなかった日なんて、一日だってなかった。僕がそれを忘れたことなんて、一瞬も。ああ、花が降る。この世の花が。天国にばかりとじこめておけないで。白に降る。星に降る。やましい恋を、もうひけらかして良いんだって。おまえが生きている世界でよかった。そう笑うあなたの髪に、黙って俯く僕の肩に、降りしきる、ふりしきる、この世の花の、なんて鮮明。

6+

No.627

青いものが果たしたもの。赤いものが運ぶもの。あなたがまぶたをひらくたびに、羅列をひとつはめていこう。パズルのピースが足りなくなる前に、ぼくが何もかもを忘れる前に。この世界にはすみっこがなくて、ひとりで泣くこともできないんだ。それならぼくが隠してあげよう。あなたの名前を奪ってあげよう。死にたい欲求を誰にも悟られずに、手品のように消してあげよう。思い立ったら花を手向けよう。何も知らないひとがそんな姿を見て涙を流すだろう。うつくしいね。かなしかったろうね。ぼくは微笑むために俯いてしまう。光景はちぐはぐでも、流れる涙はほんものだ。意思の断絶がなければ、こぼれなかった。おなじ命、わかりあえないことは、それほど悪いことじゃないよ。春が来る。あなたに一度も愛されなかった、どうしようもない季節のことだ。

6+

No.626

雨音がきこえる
ずっときこえる
白い教会のある町だ
ぼくたちに血のつながりはなかった

昔の人たちが守ってくれた
目隠しの存在には感づいたけど
誰も責めたりしなかったよ
正しさの敵はまたべつの正しさで

鏡と鏡を向かい合わせに置いて
その真ん中に立ってみたんだ
どこまでも永遠が連なっていて
なんだってかすり傷に思えた

雨音がきこえる
晴れていても今日も聞こえる
誰一人としてぼくと同じ音を聴かない
この町でたくさんの血が流れたんだ

2+

No.625

夕陽、カラーセロハン、折り鶴、夢見心地、ドロップ、鍵盤、波、サイダーの泡、片足だけのローファー、黒猫の瞳、きれいなものを見つめていると、消えてしまいたくなるのはなぜ。調和のとれた景色の中に立つことを、まだ許されていないと思う。きみのとなりを許されていないと思うから。吸う息を半分にして、もう一息でいのちを半分こにして、文句なんて言わないで、卑屈なこと自分がよくわかってるんだ。ぼくのほうが優勢で、きみのほうが劣勢だとしても、ぼくはいつまでも恥じるだろう。いたたまれない、その衝動だけで踏み出してはいけない一歩をかんたんに踏み出してしまうだろう。見つめられたくない、ただ見つめていたい。視界にうつりたくない、ただうつしていたい。肉になっても、骨になっても、きみが誰かを愛して傷つけられるだけのその時間を、ぼくは何も感じない神さまみたいに守りたいんだ。これはきっとバグだから、ただしく修正されることだろう。きみは安心安全に、ぼくを忘れて生きていけるよ。報告します。生きてこられたよ。きみのおかげで。きみのせいで。ぼくは正常であり、異常なし。身体検査なんて不要なくらい、次こそまともにうまれてみたいな。命令をして。死んではいけないと。そうしたらぼくは初めてきみを裏切るだろう。バグは回復しなかった。きみの発明品は自我を持った。すばらしい、絶賛の嵐だ、きみは少し泣くかな、泣いてくれるのだといいのだけどな。命令をして。

5+

No.624

あなたにふれるといつも思い出す。ぼくがほんとうはとても弱かったこと。あなたみたいな影がよぎる時にいつも思い出すんだ。ぼくがあなたに嫉妬していたこと。おなじ春なんて来ない。悲しいニュースが破り捨てられて、世界はいつも美しかった、誰の目にも平等にうつっていて、だから心がひしゃげていたんだ、あなたの吐き出す言葉の熱で。たとえばそれを毛糸にして、生まれて一度も休まない心臓を休ませてあげれば良い。たとえばそれをチョークにして、使う人のいない黒板で消えてなくなるまで削れば良い。たとえばそれを、たとえばそれを、ぼくからあなたへの贈り物だと言って、毒と名づけたため息を叩きつければ良かった。ああ、あの日、そうすればよかったんだ。傷つけないですんだのに。今ごろきっと忘れていたのに。残酷でなければただの夜に、優しくなれない光が降るんだ。誰もいない、誰もいない真夜中のなかだ。あなたの声だけが頼りだなんて、心もとなくて仕方ないや。

3+

No.623

きみの手はもう痛まないだろう
柔らかな雪の上で爆薬を詰めないから
記憶を白黒で思い起こしたり
子どもの笑い声に苛まれることもない

隔たりは茎によって崩されたんだ
とたんに言葉が行き来を始めて
別れなんてどこにも無かったみたいだよ
そしてそれを幸せだと言う人もいるんだ

あの日もそうだったように
キッチンには甘い湯気が立っている
用意されたガラスの瓶に
七色の光が溜まっていく

忘れないように忘れないように
生きていきたいんだけれど
遠ざかって遠ざかってく
きみの手は真っ白だね

きみは知らないでしょう
だってぼくも知らないんだ
それだけがほんとう
隠したがった真相は腐りゆくジャムの中

3+

No.622

うつらうつら
パズルのピースが剥がれてく
ぼくが見たかったもの
ああ、ぼくが見たかったものだ

完成しないよう飲み下したよ
ウエハースみたいだった
そんな気がするんだ
そんな思い出にしたんだ

悲鳴も歓声も聞こえない
ほんとうの静寂は
ほんとうの平和は
色も音楽も要らなかった

ぽとりぽとり
鼓動のたびに血が海に落ちていく
なかなか帰らないので一滴一滴
次は夢で再会しよう

修正は必要ない
終われば良かったんだ
きみが見る夕陽に溶けて
今しかない、この今を照らすんだ

2+

No.621

夕闇も朝焼けも蜂蜜の瓶に詰めて
変わり過ぎた窓の外を見る
このガラスは決して割れないはずだけど
誰も信じられず四歩遠ざかった

恋人たちは愛ばかりして
たまに脇目をふったりする
視界に入るぼくにはまだ色がないので
安心したって声が聞こえて視線を外す

誰かの幸福が誰かの孤独の上にあって
誰かの涙が誰かの火照った体に落ちて
誰かのいとしい人がぼくには厄介で
誰にも害を与えず風船になって割れたい

苗床にもなれなくていい
肥料にはなるだろうけど
ぼくが溶けた土にこの世の花が咲くだろう
保存されない種には澄んだ風が寄り添うだろう

4+

No.620

信じられない
回転木馬がまわるなんて
信じたくない
命がめぐりめぐるなんて

だけどいつも祈りだった
信じたくないことは
いつも黙っていた
非力なぼくの発する祈りだった

おまえの幸せは凍てつき
ぼくの心臓を冷たくする
両手いっぱいの針で
傷ついてでも傷つける

まだ生まれてもいない春を待つ
どうせなら一度も明けない夜でいい
おまえが幸せでないよう信じている
おまえが不幸せでないよう祈っている

両手いっぱいの針を
いつか花束に変えられるよう
おまえに嘘を見抜かれないよう
つないだ時にもう痛まないよう

4+

【雑記】他愛もないこと。

日記らしいことも書こうかな。

・ルマンドが主食ならいいのに
・ブルボンのお菓子は皆おいしい
・プログラミング言語の勉強はじめた
・餅を食べた
・きな粉餅が一番美味しい

日記じゃないな。

今読んでる『amazon 世界最先端の戦略がわかる』がとても面白いです。私プライム会員で大活用してるんだが、こーれは抜け出せないわけだ。ついつい楽天より使っちゃうもんなー。

あー、世界ってひろいな。ひろいけど近い。自分が拒まなければ人は案外受け入れてくれるものだ。自意識過剰なんだよ。

話は戻って、ブルボンのお菓子は本当に美味しい。ルマンドも好きだがバームロールも捨てがたいな。ルーベラの繊細な感じもいいよね、持ち歩いたらぐっちゃぐちゃになるの。へー。ブルボンのサイト見てたら、アルフォートも?きどりっこも?キュービィロップも?エブリバーガーやちょこあ〜んぱんまで?!もう私が好きなお菓子ぜんぶブルボンじゃん!無自覚のうちにブルボンと共に生きてきたんだな。ブルボン様様である。今年もさぞかしお世話になるであろう(太る)。

4+