使いきれなかった生を
もう一度まわしていく
嘘だって言われても
その言葉に圧力はないから
自由には色があって
きみの目と同じだった
だから離せなかった
だから何度も終わらなかった
百年後ぼくはここにいない
百年前ぼくがここにいなかったように
今日もまたかさぶたが剥がれるように消えて
明後日また生まれるのを楽しんでいる
日常から落ちこぼれた非常が
微かな光を乱反射させ増大する
正体を見抜けなかった大人たちが
子どもの真似をしてそれが本当に下手くそ。
使いきれなかった生を
もう一度まわしていく
嘘だって言われても
その言葉に圧力はないから
自由には色があって
きみの目と同じだった
だから離せなかった
だから何度も終わらなかった
百年後ぼくはここにいない
百年前ぼくがここにいなかったように
今日もまたかさぶたが剥がれるように消えて
明後日また生まれるのを楽しんでいる
日常から落ちこぼれた非常が
微かな光を乱反射させ増大する
正体を見抜けなかった大人たちが
子どもの真似をしてそれが本当に下手くそ。
こんなもの大切にしてどうなるんだ
大切なものを辞書に探すような奴だ
光るものを疑って暗闇に引きずり込むような奴だ
きみの幸せを願えなくて一緒に落ちろと言って
受け入れられてなお笑えなかった奴だ
きみは頭がおかしいんだ
だから僕といて平気に笑うんだ
楽しいとか幸せだとか言うんだ
そんな君を心から羨ましいと思うから壊れて欲しい
知らないところで傷つけられるのは嫌だ
知らないやつに曇らされるのは我慢がならない
考えたくもないのに何億回も考えてしまって
一度で済むなら数として正しいので今からきみを解放する
ありがとうとさようならの無い人生に終わりが来たよ
今日も世界の美しさを誰とも眺めなかった
他の贅沢を知らなくて他人の情事に首を突っ込む
お金はあるだけいいけれど言葉は控えめに悪どい
勇気を、もらっていたんだ
無いほうがきっとましだった勇気をもらってしまって
あなたの世界が輝いていることを知ってしまって
僕は生まれ変わってもそこへたどり着けない気がして
傷つけることでしかあなたに近づけないと信じてしまって
傷つけることのできなかったあなたを沈みながら眺めた
呪いも祈りに変わる
光をまとえば
遠くから聞こえる叫び声も
安眠を助けてくれる旋律
時間が流れて
月が昇る
いつか同じように見ていたね
名前は覚えていないけど
思い出すために忘れるの
出会うために別れるの
つなぐために手離すの
慈しむために突き放した
ずっとあるもののようで
いつまでも続くことのようで
永遠なんか要らないと
あなたは有限の中でいつまでも笑った
薄い膜の向こう
名前を覚えていると
悟られてはいけない
初めてのように挨拶をした
産まれたんだものね
死んだんだものね
やり直しではないんだ
新しい命になったんだ
僕は神さまによそ見をされて
記憶が少し残ってるんだ
ただの初対面になりたいのに
きみは同じように笑うんだ
懐かしいね
事あるごとにきみがいう
なんだか、懐かしいね、
あなたといると懐かしいな
ふと、
良いのじゃないかと思った
本当を言っても
覚えてることをそのまま言っても
どうせ信じてもらえないなら
僕の話を聞いたきみは
そんな気がした、
と呟いた
そんな気がしたんだ、
って
うん、それきり
このお話はおしまいで
後にも先にも続かない
なんなら僕の創作かも知れないね
妄想と現実が混在して
どこからが本当か分からない
どこからが嘘かも
きみが何度も聞きたがるせい
境界線は今日もほどけていく
力を込めないリボンのように
するすると微かな音を立てて
あまりに甘い夢から隔たりを奪っていく
傷をえぐれば許される
もう充分だと擁護してもらう
足りないと悲惨なまま
ぼくたちは居場所を失う
顔のない犯人
姿のない不特定多数
ぼくだってそうだ
ぼくたちだってきっとそうだ
光が眩しい
弱い力で前を向くより
眠っていても呼吸のできる
薄い青い終わりみたいな暗闇がすき
あのねで始まり
そうだねで終わる
ただいまとおかえりのように
生まれて死んでいくのだと理解をする。
毛布の中で聞くラジオから
だれかの遺言が流れてくる
ここが世界ならいいのに
ここがすべてならいいのに
許される理由が見つからないから
息をひそめて
光に向かうことをやめにした
そんな決意もたやすく溶かし
さようならで仮死する
冷たい手で触ると
血のありかがよく分かるね
ふたりの意味がよく分かるね
優しいノイズにきみの遺言
かき消されずに繋いでいって
生と死を分け隔てないで
せまく暖かい宇宙をつくっていって
忘れようとしないで
忘れるとおりに忘れて
逆らわないで
夢で何度も再会させて
僕たちは一度きりだ
実感できないことを語るとき
うそつき、と空から言葉が降ってくる
お利口に聞こえないふりができる
今年は一度きり
今日は一度きり
いまこの瞬間は一度きり
一瞬一瞬をつなげて雪原にしたよ
同じ時代に生まれたの
前世も来世も知らないよ
同じ次元に在ることの純粋
きみが日常になるという奇跡
69個の詩を書いたようです。読んでくれてありがとう。良いお年を!
私は光がなくても生きられる
嘘でしょうと思うでしょう
逆なの、光があると生きられないの
謎謎のように感じるのは定着した証ね
あなたこの世界を正だととらえることに成功した
私が少し風変わりに映るかも知れない
それでいいの
それを望んだの、一緒に。
吐く息が少しずつ白くなって
人の手指が柔らかく温かなものに包まれる頃
ふと見上げた空に星がいっこも見えなくて
思い出すことを忘れたとしても
祝福されたこと
送り出されたこと
いつか迎え入れられること
舞台袖のような毎日で息をしていること
有限で綺麗なものを捕まえて
優しいものに捕まって
雪が降ったら私の言葉
雪が止んだらあなたの明日
音も無く区切りが一つ
ちいさな船を水難事故から救う
あなたの知らない世界の隅っこ
誰も知らないあなたの魔法で