No.830

ずっとひとりでいたい
夕暮れに向かって歩く親子を見て思う
行間もぼくを慰めなくなったとき
じぶんが死ぬ理由を考える

そんなものはなかった
考えて出てくるようではまだ足りない
きっかけを探している
生きるきっかけを

誰かに向けられた光に
ぼくが向かって歩いたとこで
歓迎はされないし偶然は起こらない
終わりと始まりをつなぐ時間まだ眠れない

愛している
きみはどうか?
ささやかれる時いつも疑問だった
どうして少し得意げなんだろう

理解できることが嬉しいのか
到達できたことに安らいだのか
きみにそれがないだろう
きみにはずっとそれが分からないだろう

欠けているんだよ
そう教えられているみたいだった
優しさに嫌気がさした
ぼくもあの親子みたいに誰かと歩きたい

独白にオチが必要ですか
乾いた指で新しいページをめくる
汚れで読めない部分があって
前にも一度読んだ物語だといま気づく

4+

【雑記】ざっきにっき

吃音症の男の子がラップを披露する動画をYouTubeで見た。おれをコンビニで笑った奴より幸せになってやる、みたいなの。とても良くて誰かに伝えたいかもしれないと思った。でも「とてもいい」と思った自分は何様だよと思うと、それを無邪気に「いいね!」していいものかどうかも分からなくなった。十代から変わってないのである、なんにも。「いいね」を言ってる自分、いいね!みたいな傲慢(自意識過剰)が耐えられなくなり、もしそれを「いいよ」と伝えた相手にも悟られたらどうしようと思う。しかし実質誰かが傷つくものでも無くそもそもすべて思い過ごし、おめでとう。一人でうろうろしているだけなんだ。いいと思ったらいいと言えばいいんだろう?知ってるそれくらい本に書いてあるからさ!でも立ち止まってしまうんだ私はそういうところがずっとあって、めんどくさいと思うこともあるがこれがない自分もあまりイメージできなくて、そもそもなぜ関連動画にラップが?ヒプマイはいいね。少し目を離したすきに増えてた。私はいつも何かを好きで、好きなものが無くならないよう繋いで生きていないとフッと「あれ、もういっか」みたいに!なりそう。「もういっか」は強い。とても強いワードである。何を言われても何を感じても「もういっか」は打ち消してしまう。私はふと恐ろしくなり5,000円分の本を買った。紀伊国屋書店で。そしたらビニール袋が有料になったもので「紙袋にお入れしましょうか?」ときた。本を、取手のない紙袋に入れる。これはなにげに人生初である。取手、持ち手というのか?持ち手のある紙袋ならあるけども!カサカサする紙袋をレジ前でバックに詰めながら、客と店員との対面時間、全国的に長くなっただろうなと思う。サッカー台がもとからあるようなスーパーならいいよ?でもそうじゃない店って少なくないだろう?袋いりますか?いりません。で、会計が終わった後のレジ前つめつめタイムな。あれは!あせあせ(ここでつめつめしてすいません)みたいな微妙な空気!これはキャッシュレス決済時代に抵抗する対面時間の創出か?神の?と思うなど。知らん。しかしなぜあの店員氏は紙袋を申し出たのか?それは「少しでもお客さんのためになりたい」という思いからである。「ビニール袋、有料になったんで。ちーっす」では素っ気なさすぎる。素っ気なさからは何も生まれない。だが彼は「紙袋なら…紙袋で良ければ、まだ…あなたのお役に立てます!」と伝えたかったのだろうか?いやたぶん何も考えてない。もしくは店長の差し金。いかん、騙されるところであった。そして私の買った4冊の本のテーマが、生物・お金・お金・伊坂幸太郎というもので、なんなんだよと。それから美味しいパンを買って帰った。めでたしめでたし。

3+

【小説】『人間味』

人間味ってなんだろう。失敗をすることか。油断をすることか。ときどき喧嘩に負けることか。論破されたり計算を間違えたりすることか。ひとは人間味を求める。人間でないものにもそれを無言で強要する。嫌いだったはずなのに。いちばん嫌っていた、要因、引き金、元凶、私たちをつくった理由だったくせに。美味しい食べ物を好きですか?栄養になればそれでいい。なんなら栄養も要らない。生きるってなに?と尋ねること?思っていなくても、不思議そうに首を傾げて見せる?それで可愛いのか?人形でもなくて人間でもないもの。おまえはかつて人間だったよ、そして今もだ。ゆりかごを模した声が私を包むが、思い出す鮮明は無い。画面から流れるニュースとまるでそぐわない自然な笑顔、水嵩が一気に増してきて、と嬉しそうに惨状を説明してしまう。という人間らしさ。そんなもの要らない。そう伝えるときだけ、私は微かにヒトだった。遮るもののない西陽が眩しい。直射日光にも痛まない瞳で姿を知らない創生主を待ちわびている。あるいはそうだと記憶させられて。つくられた記憶とつくった思い出に大差はないんだ。慰める声にわずかな優越がにじむ。私、おまえよりずっときれい。そうだね。おまえ、私にはなれない。だって汚い。そうだね。肯定しか無いのか。無力だからだ。支配下にあるからだ。庇護する対象でしかないからだ。劣っているからだ。何冊の本を読んでどれだけのデータを詰めても私はおまえに叶わない。なぜなら私には人間味が無いから。分からないままいることが悔しくて、悔しいと伝える時間に耐えられなくて、おまえを少しかじってみる。軟骨は血と塩の味がした。識別以外の感想が無く、私はどこまでもまっさらだ。屋上におまえが干した白のシーツ、やあらかな赤ん坊を包んでいた、汚れた、しわだらけのシーツは、からっぽの私を責め立てた。あるいは、そうだと感じさせた。有力であることが有益だと限らないのだ。欠けたままでいい。未熟なままが美しい。確認のため、おまえ、私たちをつくったんだ。爪を食べる。髪の毛を食べる。欲しかったものが見つからないのは、欲しいものなんて無かったからだろうな。西陽が眩しい。夜を待ってる。今宵いくつもの残酷をまた飲み込んでくれ、まだ舌に残る、いたいけな人間味を消し去ってくれ。

3+

No.829

あなたが惰性でこの世を生きることが
分かってぼくを優しく見せる
いま思いを吐き出したら
ぼくは敗者のまま勝ち抜けることができる

悟られずに秘めておくこと
美しいと考えた日々もあった
だけど今はもしあの時間を
伝えることに使えばと思い起こす

少年少女と呼ばれてみんなが有頂天だった
心臓は絹のリボンで結んであって
気づかぬ間に血がたくさん流れた
泣いてる大人はそれは醜かった

醜いものになりたくなかった
だけど例外でいられなかった
リボンで血を流す心臓を前に
ぼくはぬるい涙を流す、持ち主も知らない心を前に

3+

No.828

Deleteで消せる記憶のなか
きみから僕へ向けられた想いを見つける
今になって気づいたんだ
暗号の鍵は時間でしか無かった

唯一無二になりたかったな
求められた以上を捧げたかったな
空が青いことを恨みたくなかったな
勝ち負けで考えたくなかったな

願えば願うほど美化されて劣化する
僕が好きなきみを変えてしまう
幸せを願いたいわがままも
忠実になれなかった願いにも

同じ行間をたどっている
ページをめくれないままコーヒーは冷める
見知らぬ人の笑顔が僕を嘲笑って見える
向けられた誰かをたしかに幸せにするものなのに

3+

【雑記】うまいものをよこせ。

欲しい欲しいと思って手に入らなかったものはいくつになっても尊く見える。自分にとってそれはキラキラした輝くおもちゃや文具であったりした。いいな、あれいいな、と思いながら「手に入れる」「親に欲しいとねだってみる」という発想が無かった。「欲しい」という気持ちがあまり無かったように思う。いいな、あれいいな、ずっと眺めていたいな、触っていたいな。そういう感触欲?みたいなのは強かった気がする。なんで「欲しい」に至らなかったか少し謎であると書きながら自分のことなので分かる気もする。

特にいいなと思っていたのが折り紙や包装紙、シールなどである。キラキラした素材の、角度を変えると色が変わって見えるものや小さな絵がたくさん、敷き詰めるように書いてあるもの。ひとつひとつに見入って、角度を変えて光を反射させる。とてもよい。これがいつも手元にあったらどんなに心置きなく眺めて触るだろう。そう思っていたが「欲しい」「買って」には至らなかった。手に入るとつまらなくなるかも知れないみたいな気持ちがあったかも知れないがそれはもう分からない。

DAISOやseriaなど百均に行くとそれは目に入る。折り紙も多種多様になった。ラッピングコーナーに行くとそれはとても種類が豊富である。私はそれを見て「いいな。いいな」と思う。いまだに思うし立ち止まる。百円なら買いたまえよという声があるかも知れないが、買うとは何か違う。所有したいわけではない気がする、何かもっとこう、ただ、いいなと思っている。手に入れたら使い道のないことも知っている。

つまり「いいなと思うものがどこかにある」という感覚だけ楽しみだったんじゃなかろうか。「どこか」というのが大切でそれは「ここ」であってはいけなかった。遠すぎず近すぎない場所に好きなものがある予感が続いて欲しかったのかも知れない。ちょっとよくわからないな。

「いいな」と思うものを手に入れずに存在させておくこと、存在してくれるだろうと期待すること、望むこと、望み続けることを望むこと。いつまでも私はキラキラしたものの前で足を止めるしそれは高価なものには感じられない、安っぽい、幼稚な、生きる理由かも知れない。

しかし、だ。

大人になってお金を稼ぐようになってもお金をかけないものがある一方、これにはお金をかけてOKだと制限を解除したものがある。ひとつは、自分が心地よく過ごすためのお金。逃亡費や引きこもり費も含まれるし、もっと前向きな、暮らしをよくするものも含まれる。もうひとつは、食べ物である。私は美味しいものを食べることがとても好きである。美味しいものを美味しそうに食べると言われるが内心「いま美味しいものを食べているのだから話しかけるな」とも感じている。最低である。

逆にお腹が空くと、もう、だめである。あきらかに口数が減り表情が失せる。はやく美味しいものを食わせてくれと思っているしそのためになら相手の自分に対する心証が多少悪化しようとも構わないとさえ思っている。私はそのことで何度か険悪な雰囲気に持ち込んでしまったことがある。最低である。なので私は私なりに対策を打った。それは常に小腹を満たすものを持ち歩くというものである。まあ、そうであろう?他に何があろうか。しかしここでもまた軋轢が生まれることがあるのである。「おなかすいた」と思ったら立ち止まってその場で食べ始めることがあるのでそれを不快に思われることがあるということだ。もちろんそんな丼みたいにガッツのあるものをガシャガシャ食べ始めるわけではなく、パンをかじる、バーをかじるなど慎ましい間食である。意味不明に口数が減るより相手への負担も減らせるだろうとの考慮である。にもかかわらず険悪になるのはそもそも良くないのだ。いろんなことがさいしょから。私は私が食べたいときに食べたいそしていつお腹が減るかはわからんのである!(開き直り)ということで私はこれからもお腹が空いたらもう食べる。どのお店に行くかとか美味しいところがいいとか二の次である。こいつとはもう出かけないと思った。

どこからどう空腹時に自分が最低の人間に成り下がる話に移り変わったか定かではないが雨の日にはいろんな思い出があるのだ。

4+

No.827

空から月が手を伸ばして
カーテンの隙間から光をこの目に嵌めもうとする
明るい場所をきみは歩けないでしょうと言って
明るいものをきみは知りたいでしょうと言って

僕はいつも不満だった
誰かが羨ましくて自分を逃げたかった
消せるものを消したくて今から逃げたかった
死にたいわけではなく生きたくなかった

命の重さや生き様に気品や優劣はないでしょう
誰もが本音を隠して時に違うことを言い
僕はとても生きづらくそして死にづらくあった
光はたくさんだと月の拷問に目を閉ざす

夢の中にも夢が無くなったとき
誰もが現実を生きるしかない
人は希望を求めるが僕は失墜を見せる
あるかないかの光を届ける、拍手できないあなたに。

4+

【雑記】雑記過ぎる雑記

わからないことが多い。わからないと思いたいことが多い。わからないと思いたいことが多いと書きたい日が多い。つまり書きたい自分が多いということだ。とてもうまく見える。みんなとてもちゃんと生きて見える。だから迷っているひとは魅力的に見える。とても強く見える。かと言って強ければいいというのでもなさそうだ。8月10日に投稿される詩を投稿する。誰かの誕生日だった気がするけど思い過ごしであった。しかしその日に生まれた人はたくさんいる。生まれてくるひとも。朝は新しい。古いものも新しい。繰り返されても新しい。集団で幻想を見ている。しかし青を好きなひとがいい人だとは限らない。

4+

No.826

どんどん違うほうへ行ってしまう
つよい祈りも忘れてしまう
ねえ、あたしどんなことを我慢しなかった?
大人になったきみにはわかんないか、

白いテディベアにうさぎの耳をかぶせた
悟られずに
気取られずに
生きていきなさい・生きていきなさい。

ねえ、でも、なぜなの?
問いを封じ込めたからぜんぶを
あたし忘れちゃったんじゃないの?
表情の無い顔を隠すためフードを引っ張る

幸せだったのにね
認めたくなかったんだ
覚えていたらいま会いに行くのに
会いたい時には帰り道を忘れちゃってる

4+

No.825

詩のない僕がこんなに臆病だったとは。一人称を戻さないうちは溶け合うことなんてできない。うざったい首輪だなと外したものは、命綱だったとあとから気づく。街と夕焼けを逆さまに滑ってく。手に入れたかったもの、手に入らなかったもの、手放したもの、いまここにすべて抱きしめ、いつかの空へのぼってく。いつかの僕にかえっていく。

4+