【雑記】花はかわいい

生きろという言葉はそんなに無責任だろうか?他人からの生きろ。をそこまで重く受け止めたあなたがほんとは生きたかったことを自覚したというだけで無責任と言い返すのはただの八つ当たりなのでかわいい。

どんな反応にも「かわいい」で返す練習をしてみる。辺り一面かわいいものばかりになって頭かるくなる。つまり思考からの解放。

さいきんFLOWERというお花の定期便を頼んで癒されている。のだが梱包が危なっかしくて1便目はぺしゃんこだった。マジかー、と思いながらべつの定期便いろいろ見たけど雰囲気と値段と量とやっぱりこれが良いのでもう1回くらい様子見と思ったら次はちゃんと崩れず届いた。リンドウがこんな綺麗な色の花だったとは。花瓶もここの買った。フラスコみたいでかわいい。次3回目で潰れてたら潰れて届く確率のほうが高いってことになる。

花はかわいい。すぐ枯れるとことか。飽き性なので、理由あって手放せるものはラクである。

2+

No.757

恐怖で目覚めた朝に
塩と砂糖を間違えた報告
え、何だって?
きみはずいぶん呑気だな

自転車にカマキリ
払い落とせずバス停まで漕がずに歩く
子どもの手を引く会社員が
車道側を歩いていた

英会話教室の張り紙に
無料の文字と向日葵のイラスト
道行く人に笑いかける自販機
無視されてもひんやり冷たい

恐怖はこの先も
たぶん消えない
嫌な思い出もたぶん
死ぬまで消えない

上回るだけの
せめて同じ量の
優しい毎日にしていこうね
信じたくない綺麗事

そっぽを向きたがるぼくを
なだめるのはきみのほうが得意
きみはごちそう
魂から欠けたものを与えてくれる

ゼロからイチにもなれないでいる
コンマ以前のぼくを解いてくれ
生き物なんかどうでもいい太陽も
ぼくからきみを奪っていかないから

3+

小説『おしゃべりなドッペルゲンガー』

いいなあ、とはっきり思う。だけども、とはっきり聞こえる。よくない。できっこない。だってこういう障害があるし、だってこういう義務があるし、だってこういう世間の目があるし、だってこういう中傷を受けるだろうし、だってこういうリスクがあるし、だってこういう恥晒しにあうし、だってこういう汚点になるし、だってこういう罠があるし、だってこういう心無い人に狙われるし、だってこういうこういうこういう。でも何もせずにいたらこういうこと全部と無縁だよ。ねえ。安心安全平和にいられるよ。ねえねえ。そうしよう。いいよね。ずっといいよね。うんと言って。・・・ぼくを頷かせようと必死だったあなたは天使だったのか悪魔だったのか。ずっと考えていた。うそ。たまに考えていて、ふいに分かった。設問がまちがっていた。あなたは、おそらく、ただの人間だろう。天国を選べない、かと言って、地獄も選べない、どうしようもないほど人間だったのだ。ちっぽけで怖いんだろう。喋っていないと不安なんだろう。ぼくはぼくに似たあなたを抱きしめる。ちっぽけなまま黙っていられるように。

2+

No.756

あなたがここにいないので僕は、知らない女の子の爪の話を聞かされなくてはならない。爪と言うと怒られるんだ、ネイルなんだ。シーツの皺もアボカドの種もメモの殴り書きもあなただから好きになれたのだと知る。長い夢を見ていたようで、ここから長い夢が始まるようでもある。こどもの頃、家族で海水浴へ行った。世界の終わりみたいに美しい場所で、僕はすすんで迷子になったんだ。呼ぶ声を聞きたくて、探す瞳に見つけてもらいたくて。あなたもそうだろうか。そうなら繋がっていられる。アクリルに閉じこめられて、星の陰に隠れて、つぎの場所へ向かう途中だろうか。あなたを好きなままだよ。好きなままで、どんどん思いを募らせながら、女の子に言うよ。その色すごくいいね。僕も好きだよ。

4+

No.755

ぼくらずっと自由だったんだ。水はアクリルの向こうからちゃんと流れていた。そうじゃないなら良いのにな。そうじゃないなら救われるのにな。iPadのなかでペンギンが卵を受け渡し、屋根の上にはオーロラが垂れている。神さまがいることに気づいたのは大人になってからだ。いないと思ってた。ずっと。どこにも。ぜったい。夜中まで鳴いている蝉の声で眠れなくて、冷蔵庫にならんだ白桃からひとつを取ってかじった。左。あまい。喉の渇きは善悪を曖昧にする。あまい、つめたい、ああ、ひとりじゃない。汁をつけた手のまま布団に潜り込む。夢のなかであなたがぼくを探している。どうしたの、迷ってしまったの。起こしたくなくて、迷っていて欲しくて、大切な人の口から呪文のように流れ出すぼくの名前を聞かされている三時。ここにいるのに。ばかだなあ。甘い汁を頸動脈に塗っていく。からだの熱いところに塗っていく。ばかはどっちだ。明日になればあなたは気づく。ぼくがとんでもない抜け駆けをしていたことを。この夏さいしょの喧嘩を始めなければならないことを。

2+