no.430

この手を離すこと
きみが逃げ切るためには
ぼくを救った透明のビニール傘に
色がついて前が見えなくなっちゃう前に

大切なものを大切にしすぎて
壊してしまうなんておかしいよ
わかっていたのに壊れたんだ
それは、壊れてしまった

時間は止まらなかった
世界はおろか
ぼくひとりの時間さえも
絶望にそんな力はなかった

活字を切り抜いていた
さかさまの影で生きられるよう
手首は良くないよと言った人が
澄み切った目の色をしていたから

いじわるな手紙の届かなかったことを
今なら良かったって言える
こういうことの繰り返しなんだろう
壁に向かった答えあわせばかりだ

当事者でないから苦しくない
明日どうやって目を覚ますんだろう
景色は少し変わっているかな
手を離したら嘘が鮮やかになってしまうね

(きみの食べる朝ごはんが
美味しいものでありますように。)

1+

no.429

思い出さないでほしい
こんな一日の終わりに
きみは偽物のまま美しい
逃げ切れば愛される

(そういうことだった
つまり、そういうこと)

最後に読むもの
放り出された物語
見捨てて行けなかったのは
弱さだとなじられるため

本物かどうか
そこに価値はない
幼いまま奪われる
夢ばかり残される

夏に間に合わなかった
ぼくを忘れないで
色が多すぎて何も見えない
見えない世界で呼吸だけを覚えたい

4+

no.428

きみの腕は食パンみたい
ぼく、まるであたりまえのように食べたいな
それを、だって誰もいらないのでしょう?

雨をすきっていう
しんじられないことがたまにある
要らないものが降り注がれているふうに思うの

だからかな
めんどうくさくて嫌なんだ
傷つけたりしないよ、傷つけられたがっているひとなんか

誰かの思いどおりにはならない
今はきみに対して言っているんだよ
何度でもいう、優しくすることが罰になるなら

空中に浮かぶレモンをみたくて
何度でも海に放り投げる
みんな笑って見えるよ、うそでもほんとうでも

2+

no.427

真夜中に走る車の中で目をさましたい。ゴールなんてさがさないでいたい。ある時ふときづきたい。ああ、ぼく、あいされたかったんだ。まんまるい月は食べ損ねたうさぎの瞳みたいだった。怖くないよって誰も保証してくれない。みんなそれぞれを険しい顔つきで生きている。笑って。犯人、を、知っている、ほんとです。だけどそれはぼくの大切な人なので、秘密を暴きたいというあなたがたのわがままには付き合わないんです。まばたきのたびに波が遠くなる。海にかかった長い橋。すれ違う車はない。すこしでも休んだらべつの命になっちゃいそうだな。下にはたくさんの生き物が泳いでいるのだから。夢みたい。そうだね。死んじゃったみたい。そうだね。ぼくたち何かから追いかけられているようにいつまでも走るね。そんな妄想、風に吹かれて飛んでいって。どこにも行き着かない旅を。すべてがふたりを拒むだけの優しい夜を。

3+

【雑記】毛嫌いの弊害

わたしふと思ったんだが、好きなことは好きでよくってそれは疑いようのないことなんだけど、嫌いなものの中でも「毛嫌いする」ってのは時として弊害になるんじゃないかなと。人生において。「食わず嫌い」もそうだな。

というのも、わたしはいわゆる文系で、学生時代も文系科目が全体成績を引っ張ってくれていたわけだが、理数系もできたらいいなとは思っていた。しかし、まあ、苦手ではあった。その延長でExcelとか表計算ツールまで苦手だった。が、さいきん使うようになって気づいた。これさあ。理数苦手なひとほど使うべきじゃね?うん、そうだね。

これから先、言うまでもないことを言いますよ。

こういうツールってそもそも得意な人はまあ普通に使うだろうから良いんだけど、苦手な人こそ使うべきなんだよ。だってさ計算とかめっちゃしてくれるし(語彙力)!今なら関数だってね、もうほとんど何も知らなくても「ああ、それね。ちょっと貸してみ」みたいにやってくれるでしょ?そのさりげなさ、イケメンかな?!Officeソフト擬人化シリーズとか出たら絶対Excelインテリメガネ系なりそうだけどあえてさりげなさイケメンキャラであって欲しいわ。

ん?なので、理数というでかすぎる枠組みに放り込んでしまうのはもったいないんだよ。これは何もExcelのことだけを言うんじゃなくて、意外と私達は必要以上にでかい枠組みで何かを忌避したり嫌悪している。

イチゴのつぶだって顔近づけてよーく見ればひとつひとつ違うんだよ。暇人って言うな。超忙しいからな。同じように、たとえば、雪って漢字にすると一文字になるんだけど、あの結晶ってひとつひとつ違うというじゃない?

「日本人だから」とか「ゆとり世代だから」とかってひとくくりにされたら「違う」って言いたくなることもあるわけでしょう。「埼玉県民は」とか「那覇市民は」とか言われたら、そんなんじゃない、って。「ジャニオタは」とか「韓流ファンは」って言われたら、褒められる内容に対してはまあ良いとしても(そんなもんだ)、貶される言葉に対しては「いっやあ?どうだろ?そうかなあ?」って首をかしげたくなるじゃないか?

そういうことだよ。

どっちの立場にもなりうるのよ。でさ、もったいなかったり恐ろしかったりするのは、相手が「ちがうんだ!」って言ってくれるならまだ再考の余地あるけど無反応だったり「そうだね」とかって返してきた場合だよな。

だってそのままの認識でこれからも生きていくことになるんだもん。もしかしたら違う見方ができたかも、そんで、あたらしい世界がひらけたかもしれないのに、「そうだね」で閉じるんだもん。

ほんともったいねーなー。リスキーだなーって思う。自戒含めての話。

でさ、わたしが何を書きたかったと言うと、「毛嫌い」の「毛」って何ってことなんだよね。ちょろっと調べたらそのままらしいね。毛のこと。動物たちの世界では毛並みで好き嫌いを判断するからだそうだ。「あいつボサボサの毛並みしてんなあ。きーらいっ」ってことか?ちょっとかわいい。

しかし、ここまで書いといてなんだが「好きなものが増えすぎる」のも困りモノだと思っているのもまだ事実なんだけど忙しいからここで終わるね1249文字。

2+

no.426

夢ならよかったのに。あなたがそう感じながら目を覚ます朝にはそばにいたい。優しさのためじゃなく、弱みにつけこむために。

白くぼやけた世界が迎えに来るんだ、金魚すくいのように、連れ去ってしまうんだ、あの夏の花火みたいに夜空の鳥を蹴散らしながら、この時間はぼくのもの。

オートバイで走り去るものがどうして自分じゃなかったんだろう。誰もいないところへ行きたい。生きていけないくせに。じゃあ生きなくてもいい。生きていなくても、いい。

ささやく声が雑音に変わって、自由の記憶の残酷さを知るだろう。ぼくがいばらの茂みに手をのばして、ちょっとの傷なら気にもとめなかった理由を、知るだろう。

眠りは肌を冷たくする。だけどそれがまたあたたかく灯ることを分かっている。期待とか未来未満の確実さで。空にはまだ雲もない今、ぼくのわがままが少しだけきみを救う。

誰にも理解されないんだというきみの思い上がりが、ぼくを少しだけ後押しする。言葉未満の始まりに、骨を焼いた後の灰のように寝たふりをしている。ちいさな蘇生を繰り返し味わうために。

1+

no.425

シルクのリボンがほどけた日、きみと暮らせばどうだろうかと考えた。きみは新しい紐を用意するだろうか。それともそのまま自由にしておくのかな。

ぼくは、いまのぼくが好きだよ、この顔でじゅうぶんだった。怪我をしてよかったことは、打ち明けてくれる人の多いこと。人は、本能的に知っている。ほんとうの秘密は、自分よりかわいそうな人にしか、話せないって。

ミッドナイトにさよならって言う。大切にしたもの、変色しないから好きだった。ラミネートして、偽物だから、壊れることも平気だよ。

ぼくの中にきみの秘密が蓄積していく、夜、誰もいないコインランドリー、呼べない星座、汚れないきみ。

かわいいとかわいそうは似てるね。

とても、似てる。誰とも暮らせないぼくたちは少しだけ未来を夢に見て、またねって別れたんだ。ぼくはきみを哀れんでしまう。きみがぼくに優しくするたんびに。見え透いた試算、幼稚な嘘、きみでなければ暴く、こと、すみれ色したノートに正解を出すよりもかんたんだったのに。

3+

【雑記】お祈りにお金はかかりません

ときどき自分の書いたもの読んで「あー・・・やばい好き・・・」ってなるからあれだと思う。(ま、毎回じゃないからなっ///)。この傾向は時が経つほど強まる。数週間前のとか数年前のとか読んでて。なので私はずっと老後の自分が読むための詩集をつくってんじゃないだろうかと一瞬思った。人間生きていくためには思い込みか絶対的な成功体験のどちらかがないと難しいと思う。後者はむずかしくても前者って割りとすぐじゃん?呼吸するように手を出すんだよ、何においても。

少し話は変わるんだけど、この年になったからというのもあるんだけど、逃げ出さないことも悪だと思うんだよ。私ほんとそれを思うことがある。「立ち向かっていれば」「これを乗り越えられれば」って一見いいふうに聞こえるじゃん?向かい風にチャレンジする俺かっこいいじゃん?でもそれの危ないとこって「乗り越えさえすれば」って考えてる部分だと思うんだよ。耐え抜くことや乗り越えることが目標になってるのね。でも実際そればかりじゃないじゃない?そのやり方だと努力がむくわれなかったときに「あれだけやったのに」「なぜだ」ってなるのねきっと。でもそれって当然っちゃ当然で「工夫」をしてこなかったからじゃん?

たかい山の上にケーキがあります。

ごめん、だっさ。自分で言っててこの例えは無いなと思ったけどまあこれで進める。ざっくりと。

たかい山の上にケーキがあってあなたがそれを食べたいとする。

で、登山するって一つの方法ではある。でもそれがあなたにとって「最適」とは限らないでしょ。もしかしたら誰かにおんぶしてもらってもいいわけだし、なんならヘリで飛んでってもいいわけなのね。でさ、そのときに登山してる人がヘリで飛んでったひとの文句を言うのは違うと思うの。だってさヘリを出せるってことはそれなりの資力か人脈があったわけじゃん。影響力でも詐欺力でもなんでもいい、とにかくヘリ1つ動かせたわけでしょ?それはもうその人のスキルなので、楽をしているから悪だって考えではいけないはずなの。

なに書いてたんだっけ。

なので、大切なのは「工夫」とか「自分用カスタマイズ」ってことなのだと思う。がんばった「から」むくわれる「はず」とか、努力した「から」成功する「はず」って、頑張ってるようでなんか違うよ。そこには思考が無いもん、ひたむきではあるけどもね。

そういう危険性をね、ふと重く受け止めるわけですよ、何があったわけでもないけど。軽やかに自分の望みをかなえていくひとっているでしょう?そういうときに「なんだあいつラクしやがって」って思う人になりたくないなと思うんだ。

あとね、単純に危ないわけですよ。「頑張れば」「これを乗り越えたら」そういう耐久性たらればは人を死に至らしめるよ?実際。危ないと思ったら逃げればいいし、あ、無理。と思ったらまず無理ってことでいいじゃない?だって無理なんだもん!自分がそう言ってるんだもん。それを打ち消して「いや、もう少し頑張ればなんとかなるはず」って、向上心強いようで自分の声を無視しやがってるってことだから最低だからな。

私はほんと思う。自分以外に大切なやつなんていてはいけないよ、一人ひとりが自分自身を大切にして安心して満たされてはじめて他人のこと周囲のことなんだよ。
もうほんと思う。
死ぬって言うくらい良いんだよべつに本当に死ななければ。いやでも本心から死にたいならいいのよべつに、そういう人だっているのだから。そうじゃなくて本当はあれがしたいこれがしたい、でも生きることができない。あれが邪魔をするあいつが怖い、とかそういう理由で死ぬのならだよ。

悩める優しい人たちがみんなしあわせになってほしい(結論)。

8+

no.424

きみに見せたアリスが七色を消していく
輪郭だけになりたいの
迷わないように、あつめられるように
ひとつにばかり依存してほしい
雨あがりの庭の土
呪いみたくなつかしい匂いがする
棒読みでいいから口にしてほしいんだ
鳥や虫にとっての甘いジュースになる前に
二回恋に落ちてほしいんだ
きみを好きになる前と後のぼくに
神様がいないなら夜だって祈れる
見つからないのなら、いつもだって
絶対に傷つけるもんか
その誓いをすぐにあざむくということ
ミモザはぼくたちをモノクロにする

2+

no.423

鳥の羽根に身をうずめて、だいじょうぶ、ぼくは、知っているよ。なんでもない風景の中にきみが今も息づいていることを。それは水たまりが反射すればまぎれてしまうような光でしかなくても。かつてぼくがいた場所を忘れていない。いつか忘れてしまうのはきっときみが先なんだろう。だってここには時間ばかりがあるもの。その他には、きれいなものと、香りのいいものばかりが。あたたかくて、あまい。すり抜けていってしまうものばかりだ。ぜいたくであることとゆたかであることは等しくないね。まったく違うものでもないんだけれど。空がつながっていても意味はないね。声がとどくだけじゃ意味はないね。欲求はどんどん密度を増して、こんな今じゃがまんできなくなる。しあわせにならないでなんて願うこともある。どんな感情でもいい、忘れないでくれ。ぼくがつかれて眠っている時も、きみはぼくを忘れないでほしい。ここには何でもある。手をのばせば青い宝石が、緑のねこが、黒い靴が、白い水が、橙の葉が、黄の雛が、いつでもすきなだけ手に入る。彼らはぼくに要らないと言わせたいんだよ。だけどぼくは馬鹿じゃないので、欲しかった、ありがとう、って顔をする。退屈だよね。きみに会うことが恥ずかしくなるまで自分に嘘をつく。足首にひっかけて放り投げた冠も、眠りから覚めればまた頭上で光ってる。

3+