No.827

空から月が手を伸ばして
カーテンの隙間から光をこの目に嵌めもうとする
明るい場所をきみは歩けないでしょうと言って
明るいものをきみは知りたいでしょうと言って

僕はいつも不満だった
誰かが羨ましくて自分を逃げたかった
消せるものを消したくて今から逃げたかった
死にたいわけではなく生きたくなかった

命の重さや生き様に気品や優劣はないでしょう
誰もが本音を隠して時に違うことを言い
僕はとても生きづらくそして死にづらくあった
光はたくさんだと月の拷問に目を閉ざす

夢の中にも夢が無くなったとき
誰もが現実を生きるしかない
人は希望を求めるが僕は失墜を見せる
あるかないかの光を届ける、拍手できないあなたに。

4+

【雑記】雑記過ぎる雑記

わからないことが多い。わからないと思いたいことが多い。わからないと思いたいことが多いと書きたい日が多い。つまり書きたい自分が多いということだ。とてもうまく見える。みんなとてもちゃんと生きて見える。だから迷っているひとは魅力的に見える。とても強く見える。かと言って強ければいいというのでもなさそうだ。8月10日に投稿される詩を投稿する。誰かの誕生日だった気がするけど思い過ごしであった。しかしその日に生まれた人はたくさんいる。生まれてくるひとも。朝は新しい。古いものも新しい。繰り返されても新しい。集団で幻想を見ている。しかし青を好きなひとがいい人だとは限らない。

4+

No.826

どんどん違うほうへ行ってしまう
つよい祈りも忘れてしまう
ねえ、あたしどんなことを我慢しなかった?
大人になったきみにはわかんないか、

白いテディベアにうさぎの耳をかぶせた
悟られずに
気取られずに
生きていきなさい・生きていきなさい。

ねえ、でも、なぜなの?
問いを封じ込めたからぜんぶを
あたし忘れちゃったんじゃないの?
表情の無い顔を隠すためフードを引っ張る

幸せだったのにね
認めたくなかったんだ
覚えていたらいま会いに行くのに
会いたい時には帰り道を忘れちゃってる

4+

No.825

詩のない僕がこんなに臆病だったとは。一人称を戻さないうちは溶け合うことなんてできない。うざったい首輪だなと外したものは、命綱だったとあとから気づく。街と夕焼けを逆さまに滑ってく。手に入れたかったもの、手に入らなかったもの、手放したもの、いまここにすべて抱きしめ、いつかの空へのぼってく。いつかの僕にかえっていく。

4+

【雑記】青くて丸いもの

七月終わりの詩をいま書いている。

五日ごとに一編を予約投稿しているからだ。詩の中ではあさってから八月で、その頃には環境も心境も変わっていそうである。数年前を思い出して欲しい。変わっていないところの中にもだいぶ変わっているところが見つかるだろう。

あのひとは詩を書くことを忘れた。だけどあのひとの生活の中に詩がなくなることはないと思う。一度触れたものを捨てることはないと思う。捨てたと思うのは勝手だが…。

紫陽花を部屋に飾る。とてもお得な花だと思う。一輪あるだけで花束みたいになっているのがすごくいい。遠くから見るとまるっこく楽しめ、近づいてみるとたくさん小さなものがあって可愛い。地球みたいである。遠くて丸い、近くてたくさん。

死ぬことを知らない犬の眠りを見る。地面を打つ雨が跳ね返ってその額を濡らしている。

痛々しいものは自分に似ていると思う。忘れるために学ぶことはいいことだ、目をつぶるよりも。
目をつぶることに期待しすぎである。暗闇に希望を持ちすぎである。それは何も消さないし隠さない。かえって形を教え、正体を明るく照らす。

ひとに生まれたらひととして生活をしないといけない。草にも猫にもなれない。

3+

No.824

ぼくには大切なひとがいないから、世界という言葉しか使えない。日が昇ったあとの街は、色に満ちていた。それは懐かしかった。なぜ新しくならないの?風景がぼくに問いかける。振り返っても届かなかったくせに。なぜ新しくなれないの?もう一度問いかける。声は幻だったかもしれない。新しい季節。終わりの六月。来年や再来年はどこにいて何を食べるだろう。誰と何を見て笑うだろう。嫌いなものはひとつもなかった。嫌いという気持ちが持てなかった。どうでも良かった。傷ついたふりをして笑った。ちぐはぐな世界とあやふやなぼく。似たもの同士で陽のあたる場所をはみ出して歩いて行く。この夢は抱えたまま歩ける夢だ。叶わなくても許される夢だ。

3+

No.823

どんな感動にもどんな悲劇にも私は慣れていくことを知った。慣れてはいけない。どの口が言うの。きみは私を好きだった。有名な言葉をそらで言うんだ。自分から出たもののように。恥ずかしくないの。不安じゃないの。私にはできない。何も持たないからと言って借りることができない。潔癖かも。そのうえ、自意識が強過ぎる。素直になれと人は言う。素直な私が自分の望む私だと期待してるからだ、疑ってないからだ。そんな私どこにもいないのに。きみは違ったな。きみだけが違って見えたな。近づかないで欲しかった。触れないで欲しかった。離したくないと思ってしまう。嫌われたくないと思ってしまう。そんな自分は嫌い。そんな自分と生きる自信はない。だけど平気で笑っていたね。ふと、思ったんだ。あ、大丈夫なのかも。そう思ったんだ。きみは気づいてない。きっと気づいてない。いつ私がきみのいる世界に入ったか。それでもいいやと何を捨てたか。得たものはないけれど、両手は自由だ。なんでもつかめる。望んだものが手に入る。そのことを知って初めて、望むことの贅沢を知る。生きるわけだ。なるほど人が、長い百年を生きようとするわけだ。私は初めて分かりかけて、迷いの声の上を踏み出した。

4+

No.822

夢にまで見たストーリーは夢の中にあったほうが輝いていた。神さまはそれをきっと分かってた。だから手の届かないところへあなたを置いた。オーロラを閉じ込めた球体がお気に入りをのせて海原へ出る。帰ってきて。どこへも帰らないで。どこかへ帰ってきて。空がつながっていればどこででも良い。みっともなくすがること、呆れたように笑われること、好きだ、千年すれ違って分かったんだ。だけど、あなた行くのか。すれ違うこともない場所。夢の中のどこでもない場所。氷に閉じ込められた酸素を求めるぼくたち、たしかに体温が足りない。言葉が足りない。歌が足りない。思い出が消えていく。一瞬に永遠の意味を知る。太陽が月に姿を変える、その境目を見た。所有者を求めて差し出された手、今ここにあるたったワンシーンを、ぼくは何度も夢にまで見た。

4+

【小説】恋だと呼んだ愛だと呼んだ

暗い道を歩んできたから光を忘れてしまったんだ
白い畦道のうえ眩い車体を背景に赤い花が首を落とす
あの本を読みましたか、あなたが誰かに問いかける
問われた誰かは何も答えず空を見て、それでも愛想を尽かされない

平気、平気、平気と言い聞かせて生活をした
自分の声だったりあなたの声だったり知らない声だったりした
感情の無いもののように振る舞って人形に笑われた
残された時間は皆平等に少ないことを分かってはいた

光を忘れたと言い張る人の前にランプを掲げて
ほら明るいでしょうと言えるあなただった
覚えていたくて忘れたんだと思えるくらいに愚かな人だった
大抵の人は、少なくとも僕は忘れたくて忘れたんだ

旅が終わる頃に子どもだった僕がもう一度現れる
この度はどうでしたか、何かわかりましたかと問いかける
僕はうつろな目で何を答えられるだろう
だけどあなたは生まれると言ったよと諭されながら

赤い花が首を落とすとき白い畦道の上を走る車体が反射した
大きな刃物は残酷だけどきれいできれいだけど残酷で
ああ、あれはきれいな光ですねと言う相手を持たない
誰かへ伝える時間を持たない

僕はうつろなふりをしていた
僕は平気なふりをしていた
僕は弱く見せかけた強い人のふりをしていた
僕はあなたを好きな僕を演じた

何も欲しくなかったんだ
何にも意味を持たせられなかったんだ
何に価値を感じることもできなかったんだ
そしてみんなはそうじゃないと思い込んだんだ

まちがい探しが何になるの
ランプの灯が揺れてあなたの喜怒哀楽な曖昧だ
必死でまちがいを探して根拠にしたいんでしょう
馬鹿みたいです見ていてとても痛々しい

(寝言を言いましたか、)

僕はいま寝言を漏らしていましたか
あなたはいいえ漏らしていませんよと頷く
確かめる術は無いことを知っている猫の目で
言っても覚えていませんよと念を押す

赤い首が落ちていてね、
そうですか
白い車体が反射していたんです、
コントラストが強烈だったでしょう

そうなんです
僕は間違いを見つけられなかった
べつに問題はなかった
諾と答えそうになる、助けてほしい

あなたは僕の独白をただ聞いている
ただただ聞いた後で瞬きをして生きていることを伝える
花が赤くて車体は刃物のように美しかったんでしょう?
きみはそれを見て残酷なことは美しいと気づいた

私なら嘘ではないと思いますよ
そう感じたことも、そう感じてしまった自分のことも
きみは判定をし過ぎるんです
光を過信しすぎるんですだから騙される

しかし私にとってそれは都合の良いことだった
安物のランプを掲げて見せればきみは光だと言う
きみの見ていた光はそんなにチープではありませんでした
だけど私は安物のランプを掲げ続けた絶やさぬように

一人では生きられないことを分かってもらうためです
きみの瞳は暗がりに慣れており光をよく察知した
かつてと同じ光源では網膜が駄目になってしまうだろう
だから私は弱い光を与え続けたのですよ

きみに生きてほしいので

美化された記憶の中で美しく死んで欲しくない
絶望を知らないまま感情のない世界へ溶けて欲しくない
汚れたこともないくせに汚れたふりをして欲しくない
僕にはあなたの隣で生きる他無いと、きみに過信して欲しかったんです

僕たちは少しだけ眠る
少しだけ食べて少しだけ憎み合う
少しだけシンプルに暮らして少しだけ愛し合う
それを人は恋だと呼んだ愛だと呼んだ永遠にな

3+

No.821

空欄を埋める速度が間に合わない
足りてないのにもうたくさんだ
ぼくは置いて行かれた
かつて置いて行ったものたちに

青空を見たね
緑の草の上で雲ひとつ無い
きみが伝えてくれた好意を弄んだ
余裕なんて無かったのに

終わるんだ
人はどうせ終わるんだ
構わないんだ
世界はそれを構わないんだ

螺子を巻いて巻いて巻き切って
壊してしまう壊れてしまえと思ったとおり
優しくされたかったよ
きみが誰にでもそうしていたように

特別を望みません
そう言って特別になろうとしたんだ
後悔している
だけどもし戻れてもぼくは

またきみを泣かせるだろう
七年後に自分が今度は泣くだろう
結ばれないひと、でも運命のひと
つじつま合わせのために風の中で名前を呼ぶよ

3+