No.853

最初から最後まで知っている作家の長い物語をなぞっているだけのように無意味。意味を考えたものから落ちて死んでいく。真逆から見たら上って生まれ変わる。死んだ命が星になると聞いてから、ぼくは星空を見上げるたびに蕁麻疹が出る。それを綺麗だと思うのか、それを美しいと信じるのか、わかり合えない。電子も言葉も誰かが何かを伝えたかった証、途切れたものも、つながったものも、等しく「その先」を信じて一度も満たされなかった。おまえ馬鹿だよ。そういうふうに思考を拡大させてさ、何も大切にできない自分を大切にできないんだ。代償、と呼んで。傾げたぼくの首に赤いマフラーが巻かれる。おまえの首は無防備に晒される。外気にも僕にも。人目にも星空にも。誰かを疑うとき、いちばん疑われているのは自分だった。誰かを責めるとき、いちばん責めたいのは自分だった。わかってる。わかってるから。だとか、おまえは詭弁ばかり。詭弁も言えない恋人よりよっぽどいいや。もうどうでもいいや。