No.857

首が寒い。いや、冷たい。何かあてられている。

首にあてられる冷たいものと言ったらそれはもう銃口かナイフだろう。

ぼくの生き方をしているなら誰でも。ぼくの人生を生きるなら誰でも。

「ああ、やっと終わる」。

安堵とともに素直になってしまう。 

もし機嫌を損ねて、置いて行かれでもしたら大変だ。

(やっと終わる)。
という「強がり」を、言ったふりをした。

形をとらえるのって大変ですね。

なぜみんな上手にできるのか分からなかったけど、最近ようやく分かった。

下手だったんだ。

ただただぼくが下手だから、みんなが上手に見えたんだ。

酸素が薄い。だから笑えない。ここは、適していない。

薄く消えたい。誰かを傷つけたりせずに。

わがままかな。わがままだよ。

でももし自由にできるものが一つあるなら、こういうことだよね。

他に言い残したことは何も無い。
残したいものも何も無かった。

柄か引き金を引いて。

これは作業。

吸って吐くように、拾って捨てるように、あたりまえの習慣として、きみはそれを引いて。

間違って見えることのなかにも、正しさはちゃんとあるよ。