No.861

手を伸ばした
という事実が欲しいだけ
そういう触りかただね
誰も悲しませない

揺さぶられない感情は
何のため、とあなたに問うよ
答えられないあなたの目を見て
なぜ黙るの、と質すよ

理由なんてないんだ
つくらなけりゃ
意味なんてないんだ
欲しがらなけりゃ

上手になれない
器用になれない
ならなくていいよ、
そのままでいいよ、

あなたが言うのを知って待ってる
ぼくは小さな臆病者で
隙あらばいつでも消えたい
死ぬんじゃあまりに大掛かりなので

あなたに残る方法が見つからない
毒にも薬にもならない恋が
たったひとつの爪痕を残したくて
生まれ変わるくらいしてみせると豪語する