No.848

新しいものは青色
たとえば果実
始まりの空
見知った言葉の中にも

あなたいつか死ぬらしい
自分の死は信じられても
あなたのことは信じられない
ずっと新しくなれそうだ

分かっていないことが多い
秘密をさらけ出す必要はなくて
触れないまま労ることができる
それもあなたから教わった

水平線を見れば星が丸いとわかる
それ以上に自分の存在が
建物が空気が回転する街が
ふと寂しそうになって笑った

胸から下腹へ切り開く
そんな夢を見る
残酷と片付けられない
だけど片付けても良い

伸ばした指先に光が宿る
春のものとも夏のものとも
秋のものとも冬のものとも
どの日にあっても違和感のない光が

馴染みたくて無理をした
愛を知りたくて嘘をついた
本当は手の届かないところにある
そう説得したくてそっぽを向いた

優しい人に優しくされたい
それができないから優しくしない
不完全でしょう
自虐と誠意を間違えたままのぼく

完璧だよもう何も要らないよ
あなた平気で思ったままを言う
昼をも欺く夜の眩さ、
ぼくを救うことなんてわけがないんだ