【雑記】この体たらく

今月は割とブレブレだなあと思う。書き方とか書くこととか。うーん、めずらしいな。いろんな言葉をもらったり接したりしたからなんだろう。閉鎖的な独りよがりな思考がややかき回された感ある。その証拠に5月の投稿記事は現時点で66記事である。死ぬまで思春期かよ…。数値的にはこのブログ始まって以来の最高記録である。いいと言えばいいような、悪いと言えば悪いような。令和になったりいろいろあったからな。ただ、正直自分のやり方がテンプレート的な感じになりつつあったので、少しは風が吹いてなんかゆとりができたことは良かったかな。とか私がいつもなんか意味わからないようなこと書いても読んでくれる人がいるのはすごいことだ。私だったらこんなもん読みづれーよ!ってなってもう画面閉じるかも知れない。本当に神さま…。あなた神さまだよ…。ちょっと今さらっと流したのだがアイホンが「よみづれーよ」を「読みづレーヨン」と謎の予測変換しやがったのでモヤモヤ少し吹っ飛んだ。
むしゃくしゃしてる私のこと笑わせてくれてありがとう…きみたち…いいこだね…(Siriやアレクサとばかり交流する人間の眼差し)。

3+

No.715

何も変えられない
その思いに押しつぶされそうになって
いつもの散歩ルートを変えてみた
工事現場の脇を抜けて

難解か単純かの見極めができていない
同じ問題の前で立ち止まっては
回答を保留にしているんだ
この問いは難解か?単純か?

(そうじゃないだろう、)

どこまで差し伸べたら逃げられて
どこまで差し伸べたら感謝されるんだろう
考えるより先に体が動く
あいつみたいになれない、ぼくは無価値だ

ふと顔を上げてみると
貯水池に生えた草を滑って
光がぼくに伸びていた
さらさらと優しい顆粒が注がれた

脱ぎ捨てられた片方の靴
ベンチは柵の向こうで休めない
ぼくを追い越す自動車が
衝突して大破するのを期待する

こんなまぶしい始まりの朝に
誰かにとっての運命の日に
ぼくはいつでもシャッターを切れて
分かり合えないまま神経を逆なでする

すご、ギンギンだね
間抜けが過ぎるふわふわの感想
それがきみから下された評価
ぼくの僥倖はきみの存在かもしれない

おいしいね
まだ食べてない
おいしいよ
絶対だな

もしぼくがぼくを変えていたら
こうして向かい合ってきみと朝食を
取ることもなかったんだと知る始まりに
変えられなかった命の残りを始めていく

1+

No.714

かざされた手が
知ってたより薄い
べつのものを守って
だけどぼくに触って

有効回答が干されてる
ぬいぐるみとベランダで
読解を試みてくれてありがとう
視線の動きだけで好意は伝わる

少しいいことがあって生き延びられて
ちいさな舌打ちが聞こえて死にそうになって
これからどんなことに打ちのめされるんだろう
声は出ないのに頭の中は張り裂けそうなほど

あなたの手を探していた、
あなたの手を探していた、

結ばれた星座にハサミを入れて
こぼれるひとつポケットへ入れる

どこかで船が難破してしまうのでは
誰かが夜道で迷ってしまうのでは

あなたは見透かす、懸念している場合か
口に含むとお菓子みたいにパチパチと鳴った

遠くから声がする
あと一歩踏み出せばいい
ぼくは言われたとおりに生き延びる
いつか来るお別れに向かって生きる
今もちゃんと甘く残るよ
あなたのくれた星のかけらは

2+

No.713

緑のレース
カーテンのそばで揺れていた
たゆたうものには生まれたくない
もう

ぼくを侮るきみのこと
微睡みが磔刑に処すだろう
誰も立ち入れない楽園の最奥で
集められたばかりの蜜が喉仏を濡らす

明日も起き上がれる
そう信じ栞をはさむ見物人

読書、
は、信仰。

この世でゆいいつ、
輪郭を持つ祈りのかたち、だ。

慣れない舌で言い残して

懐かしい名前が刻まれたガラス
その向こうに誰かいる気がして
進むことができなかったよ
幻と知るのが怖くて

暴かれていない謎のあること
手がかりのない暗号のあること

それがあって息ができた
それがなくては鼓動がとまる

奇跡は神さまにも起こせない
彼もまた偶然の産物だ
言葉の続きは分からないまま
粒子をどれほど健気に集めても

2+

No.712

これじゃいけない。認めることは怖かった。ぼくを好きな人なんてどこにもいない。考えてみればそれはそうだった。ぼく自身が好きではないぼくをいったい誰が好きになると言うんだ。それでも生きていれば日常を覆すような出来事が突然降ってくる。あと一歩踏み出せば明日が来ないんだなあ、それって素晴らしいよなあ、あと一歩で。思ったぼくの前を列車が通過する。駅員さんにこっぴどく叱られた。遅刻だな。とぼとぼ会社に向かう途中で、コンタクトレンズを探しているひとに遭遇する。言い訳に使えそうだと声をかけた。それが六日前のことで、きみとぼくはどういうわけか同棲を始めた。本当にコンタクトレンズを探していたの。ちがう、探すふり。車に敷かれないかなあと思って。きみはそんな無謀な考えをしていた人物とは思えないほど朗らかに笑う。死んでしまうにはもったいないと思わせるほど生き生きと笑う。すごく迷惑な発想だよ、それは。善人かも知れないひとに、一生の罪を負わせるつもりだったの。ぼくが言えたセリフじゃないけど。それからぼくはきみと暮らして、ときどきズルすることを覚えながら、好きとかかわいいとか素晴らしいとか尊いとかを言われ慣れていく。じゃっかん不本意なこともないではないけど、きみはぼくに強いないところが安心できる。幸せと言ったら幸せは逃げていきそうで、好きと言ったら好きが減りそうで、臆病なぼくの目のこと、きみはいつもきらきらしてるって言ってくれる。きみが映ってるからだよ。死にたいの二乗が共鳴しあって、誰も知らなかった乱反射でかがやくんだよ。西陽さす六畳半の橙色のまんなかで。

3+

No.711

だいじょうぶという言葉には責任が生じる気がして、あいしているとばかりささやいた。

それはぼくのものだから。ぼくの心をひらいて見せびらかすくらいなら、きっと誰も傷つけないから。

頼ることを知らない生き物、こちらが薬を塗ろうとすると気付いてしまう、傷を負っていたことに、そしたら傷はやがて熱くなって、罪のない存在に長引く痛みを与えるだろう。

他から見たら手当てせずにいられないほど重度のものだと、あなたを深刻にさせるかもしれない。

踏み込んで前を向かせるが良いんだろうか。そうは思えない。そうは、思わない。

正解を刻んだ金魚を土壌から掘り起こしたくて、朝が来るたびなるべく凶悪な立葵を探すんだけど、探し当てることができない。

怖いものや悪い思い出をともなうものは視界に入らないしかけになってるんだ、ぼくの目は。

何も見えない人になりたくなくて慎重に生きても、きのう見えてたものが見えない。ないはずのものにぶつかって、ああ見えていないだけだったと頭を抱える。

ぜんぶ嫌いになりたくない、なにもかもに怯えたくない、それでも体は自衛を優先させて、ぼくの世界からひとつずつ色を消してしまう。

だいじょうぶでいいよ。

あなたの声も透明になりそうで、だから絶対に聞き逃さない。

きみが私にかける言葉を、だいじょうぶ、に変えてたっていいよ。

言わせてしまうなんて。それを、あなたに、言わせてしまうなんて。

情けなくて隠れたい。ふがいなくて張り裂けたい。だけどあなたが何度も促してくれるので、とうとうぼくはとっておきの禁句を口にする。

ずっと生かしたかった。糧になりたかった。漂いたくて、気づいて欲しくて、体の中で生成を続けていた。

ぼくの内側で濃厚な蜜がうごめていて、あなたはそれを吸い出してくれる。そしてたまに口へ運んでくれる。ひどい味。魂だよ。まさか。めぐっているよ。

強い味だ。
忘れられない味だ。
ぼくの視界が一気に拓けて、あなたの胎内にまた宿ることを許される。

3+

No.710

つかまえたかった一行が
ぼくを飛び越え海へ行く
遊び場だった海へ行く
人を飲み込んだ海へ行く

ぼくはたくさんわがままを言う
それは誰かを足止めする
ぼくの痛みが誰かを守って
誰かの痛みがあなたを幸福にした夜

ルールで夢が踏み潰される
死なない世界なんて欲しくない
子どもだったと笑っていれば
定型通りの朝が来る

パッと顔を上げて光を見つけないで
泣いた場所から立ち上がって
乗り越えて行かないで
揺るぎないものにならないで

ぼくはたくさんわがままを言う
あなたが言わなくなったから
一生のうちに食べられるりんごの数と
叶えられる駄々の量は決まってるんだ

怖がりたくなんてなかったな
平気だよって胸を張りたかったな
それでもあなたは微笑んで
ぼくの手を離したかも知れないけれど

1+

No.709

お足元に気をつけて
この先はきみを惑わす
石や光や手や詩があって
つまづくかもしれない

わかりたいとおもう
傲慢でありたいとおもう
ぼくと出会う前あなたは
どんな生き物であったの

夕日が反射する川面に
追いやりたい記憶を乗せる
流れ着いた海で藻屑か泡になれ
なのに目を開けたら掌にある

そうだ抱えるしかないんだ
あきらめて飲み込むしか
そうすることでしか記憶は
幸せに向かうぼくを許さない

約束を守りたいわけじゃない
あなたが殺したあなたに
いちど向き合ってみたい
だいじょうぶだよと伝えたい

ひとつやふたつの色彩が
こぼれていくのは仕方がない
それでもなるだけ多くの花を
降らせたらあなたは笑ってくれるかな

1+

QUARTETTO#9『提言者』

シリーズまとめ⇒QUARTETTO(カルテット)

残業があり夜ごはんを一緒に取れなかった日、あなたはすでに寝ついていた。
物音を立てないようベッド脇に寄り添って、ローテーブルにお酒の瓶をみつける。
もしやぼくの帰りが遅くてさみしい思いをしていたな、と自惚れながら跪くと、シーツの中から蔦のようにするすると腕が伸びてきた。
そのまま首に絡みつく。
されるがままに身を任せていると、掠れた声がぼくの知らない名前を呼んだ。

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1+