No.709

お足元に気をつけて
この先はきみを惑わす
石や光や手や詩があって
つまづくかもしれない

わかりたいとおもう
傲慢でありたいとおもう
ぼくと出会う前あなたは
どんな生き物であったの

夕日が反射する川面に
追いやりたい記憶を乗せる
流れ着いた海で藻屑か泡になれ
なのに目を開けたら掌にある

そうだ抱えるしかないんだ
あきらめて飲み込むしか
そうすることでしか記憶は
幸せに向かうぼくを許さない

約束を守りたいわけじゃない
あなたが殺したあなたに
いちど向き合ってみたい
だいじょうぶだよと伝えたい

ひとつやふたつの色彩が
こぼれていくのは仕方がない
それでもなるだけ多くの花を
降らせたらあなたは笑ってくれるかな