つかまえたかった一行が
ぼくを飛び越え海へ行く
遊び場だった海へ行く
人を飲み込んだ海へ行く
ぼくはたくさんわがままを言う
それは誰かを足止めする
ぼくの痛みが誰かを守って
誰かの痛みがあなたを幸福にした夜
ルールで夢が踏み潰される
死なない世界なんて欲しくない
子どもだったと笑っていれば
定型通りの朝が来る
パッと顔を上げて光を見つけないで
泣いた場所から立ち上がって
乗り越えて行かないで
揺るぎないものにならないで
ぼくはたくさんわがままを言う
あなたが言わなくなったから
一生のうちに食べられるりんごの数と
叶えられる駄々の量は決まってるんだ
怖がりたくなんてなかったな
平気だよって胸を張りたかったな
それでもあなたは微笑んで
ぼくの手を離したかも知れないけれど