No.713

緑のレース
カーテンのそばで揺れていた
たゆたうものには生まれたくない
もう

ぼくを侮るきみのこと
微睡みが磔刑に処すだろう
誰も立ち入れない楽園の最奥で
集められたばかりの蜜が喉仏を濡らす

明日も起き上がれる
そう信じ栞をはさむ見物人

読書、
は、信仰。

この世でゆいいつ、
輪郭を持つ祈りのかたち、だ。

慣れない舌で言い残して

懐かしい名前が刻まれたガラス
その向こうに誰かいる気がして
進むことができなかったよ
幻と知るのが怖くて

暴かれていない謎のあること
手がかりのない暗号のあること

それがあって息ができた
それがなくては鼓動がとまる

奇跡は神さまにも起こせない
彼もまた偶然の産物だ
言葉の続きは分からないまま
粒子をどれほど健気に集めても