2017年 12月 の投稿一覧

no.368

あなたはずるい
だなんて至上の殺し文句
考えもしなかったけど
それ以外の方法では死にたくない

夜ごと連れて歩いたよ
誘拐された僕を見つけに
みんなが大切を疑う日に
さみしいを自覚する

綺麗なものから消えて欲しかった
鑑賞して浮き彫りにされるのは
耐えられない、もう
美しいは残酷だ

両腕いっぱいの花束をきみに
手持ち無沙汰にトドメをさして
平穏とは永遠にさようなら
僕以外を手にかけないよう埋め尽くして

3+

no.367

色画用紙を切ってリボン通しただけのしおり
今はラミネートだってできるのに
落ち葉の中に隠れていたのを見つけて
遠回りなんかするんじゃなかったって思った

本能だろって笑わないでくれ
理性できみを好きだって証明する
だけどそのためには時間が必要
たとえば朝にミルクを温めるまで

馬鹿にされて悲しかったことはない
そうする人が周りにいることが悲しい
人間は技術のように進歩しないし
やがて欠陥が個性になるんだろうけど

行きたい場所はスマホの壁紙にする
思いはいつも先回りされる
時期をずらして咲き乱れる花々が
もういなくていいよって僕にいう

ずる休みの午後二時
いなくても大丈夫だって涙目が気づく頃
不可欠な臓器にはなれない
不在でしか存在できない

スパークする記憶はつかみどころがない
真冬に花火なんかしてる
ぐちゃぐちゃになるまで何度でも混ぜて
僕に似せられた夜をやり過ごすために

2+

【雑記】美味礼讃

シュガーバターサンドの木より美味しいものってこの世にある?って思いながら食べてるけど他の美味しいもの食べてると結局それが天下一になるから自分の言ってることなんかなんもあてになんない。だがそれが私という、いや、人間という人間なのであった。

小さいころからずっと理解できなくて今日もやっぱり理解できないなと思ったことがあって、それはこういうこと。

人に話せば楽になる。

なるか?逆に罪悪感しか残らないんだが。人に解決できなくて自分か時間が解決するしかないようなことを関係のない人(あったとしても)に話したところでさ、いま自分が苦境に立たされてますってわざわざ宣言しただけのような、かつ、聞いてくれた人の時間と精神を削っただけのような。やっぱなんも良いことない。って思っちゃうのは、話す相手か内容かタイミングを間違えたからなんだろうか。人に話して肩の荷が軽くなった試しがない。「ばーか、なんで喋るんだよ。黙っておけば良かったのに」って思うことがほとんどだ。

たぶん、だから私には詩があった。

詩を書く人それぞれにいくつずつか理由があって、私の場合はそれが確実に一つ。

なんだよここに落とし込むのかよって自分でも思った。

2+

no.366

すべてを壊してすべてに繋がっていく。
確認作業、もう十分に大丈夫だ。
すぐ手に入るものを取らなかったのは、
眺めているのが好きだったからだよ。
ラップを巻いた指がしゃぼん玉みたいに光ってる。
成功することに怯えて幸せを否定した。
ぼくが笑顔でいれば誰かが置き去りにされるって妄想。
生贄になることはぼくにとっても大切だったんだ。
ぼくを傷つけるかもしれないもの、蝶になる。
時期を違えて雪になる。
すれ違う人に愛とかナイフの応酬とかあげたい。
限られたピースでもなんなく描いて見せるよ。
全員が数じゃないんだって証明されたくない。
かわいいものの吐く息が可視化される今日。
未来は誰のものでもなかった明日。
閉ざされたドアの前で君を待ってる。
もうどんな魔法をかけられたっていいよ。

2+

no.365

ぼくが全部たべてあげる
きみのたべられないもの
とげとげした陰口や
ちくちくした記憶もぜんぶ

本当はあかるい
ほんとうに明るい
きみが生まれた場所で
千の花が枯れたんだって

おとぎ話って好きだろう
誰だっておんなじ
悲しみはかくれないし
おおかみはいつも悪者だ

なりたいものがわかるね
希望なんてたやすく手に入るね
雨のようにふりそそいで
きみを天高く取り戻したい

5+

no.364

知られたくない
誰にも
教えるつもりもない
きみはかわいい

誤解されて
邪険にされて
いつもひとりで
報われなくて

ぼくの幸せを祈って
泣くことをやめないで
ぼくは勝手に幸せになる
がんじがらめの相思相愛

気持ちを迷路にしたのは誰
たくさんの石ころを忍ばせて
つまづいてみせる演者たち
安心安全のお遊戯会

拒まれたくない
そのわがままのために
ソフトクリームをなめるみたいに
味方のすべてをけずっていく

唯一にあこがれること
愚かしくて可笑しいね
手をつなぐだけなら誰でも良かった
唇に空がうつってる

3+

no.363

光が侵していく無名の庭
いつ切り出そうか考えている
ぼくは神さまじゃないと
きっとあなたは知っている

たがいたがいに持っていた
暗くて甘くてぬるい秘密
それはシロツメクサの指輪みたいに
簡単にほどけちゃう類いなんだ

ランナーみたいに脇目もふらず
好きなものを好きだと言えばいい
わかっているのに遠回り
傷つけたくないなんて言いながら

傷つきたくないのは自分だった
しょうもないことで
苦しくなるだけなのに
それもそうだって認められない

終わりを何度も経験して
始まりは何度も始まって
数も覚えていないんだ
忘れたくなかったはずなのに

言葉を取り上げて
優しいスプーンで
不可逆性の蜜月と怠惰
あなたを好きで仕方がないです

そのことに困惑しかないです
満月も利用できないで
病気にもなれないで
ただ健やかにあなたを想ってる

呆れられたい
見守られたい
泣きながら笑って見せながら
本当はいつでも裏切っていいよ

4+

no.362

ずっと離れていたね
会いたかったよ
それも嘘だというの
だったらそうなのかもね

ビットに分裂する感情
初恋の解体作業
いわくつきの近況報告
どんな明日を迎えようか

砂の粒が傷を教える
永遠は胸に宿った
だけどそのままいつか死ぬよね
かわいそうって言われることが好き

涙はあたたかくて
生き物ならちゃんと判別するよ
壊したくて仕方がなかった
春と呼ばれた場所から持ってきたんだ

3+

no.361

この火はまだちいさい
だけどいつか街を焼き尽くす
焼け跡から黒い遺体が見つける
それは身元不明のまま葬られる

闇から来て闇へ消える二人
薔薇の香る村で生まれた
教会に背を向けて
月だけが姿を照らしていた

なのに僕たちは知っていた
遠ざかりながら憧れていた
真反対を取りながら恋をしていた
過去にも未来にもない今の中で

誰かの涙を誘うような
そんな悲しいことじゃない
僕たちはただ温かさに近づいただけ
自分よりそうじゃないものに触れてみただけ

2+

no.360

これくらいしないと愛にならないんだろ、きみの場合。
抱き合うとひとりでいるみたいな錯覚に陥るね、悪くない。
心地よさは不安とつながっていて、吐く息の白さは昔の亡霊に似ていて。
系譜の一つとして埋もれていくことからなる匿名性、は必ずしもぼくたちを救わない。
どんな台詞よりもいま頭上にひろがっているグラデーションのほうが有益だったとしても顧みない。
みんなみんな卒業していったけど、どの名前を聞いても羨ましくならない。
まだ離れたくないのは凍えてしまうからじゃない。
抱きしめたものの正体を知りたくなかったんだ。
それはぼくかもしれないから、きみにとってはきみかもしれないから。
歳を取るくらいなんてことないさ、永遠が姿を変えただけのこと。
孵化しなかったさなぎに似た感触がする、生まれなかった手のひらの。
涙なんかこぼさなくていいよ、ぼくたちは最初からひとりだった。
照らさなくたっていいよ、きみの光があるからぼくは安心して眠ることができる。

世界は安心して幕を閉じる。

2+