あの街を出た
街の人が誇りに思う
花の色を知らずに
指先で封をして
振り返ってはいけない
それは無効だった呪い
ぼくは忘れなかったよ
忘れられなかったよ
川の中をひらひら流れていく
吹雪のような光景だ
落ちてしまって生きられない
そんな命もあったんだろう
岸辺に寝ていた
いつかの猫のようなひと
顔を覆う葉っぱを取り上げたなら
百年前と同じ目をしてぼくを見るんだから
あの街を出た
街の人が誇りに思う
花の色を知らずに
指先で封をして
振り返ってはいけない
それは無効だった呪い
ぼくは忘れなかったよ
忘れられなかったよ
川の中をひらひら流れていく
吹雪のような光景だ
落ちてしまって生きられない
そんな命もあったんだろう
岸辺に寝ていた
いつかの猫のようなひと
顔を覆う葉っぱを取り上げたなら
百年前と同じ目をしてぼくを見るんだから
22:47の空にオリオン座が光ってて
文具店は閉まってて
私のあたまをスピッツの8823が流れたのだった
解析の瞬間だ
人は優しく
人は無力で
クズと呼ばれても笑うことができる
平成がもう三十年目か
信じられんよ?(昭和生まれ)
星
ほしい
たましい
ひとつだけ
駅の自販機
生き物
と呼ばれてもいいよ
この星で
いて欲しい
凍てつく
月々を
日々を
響かせる
それは求愛
地球
宇宙
編み込まれたミトン
指先がまだ少し余るの
誰の落し物だろう
自分以外の気配
恐怖と期待
今日は行きたい
味方を知りたい
無用のマシンガン
羅針盤の使えなさ
ささやかな第一歩
抜け殻がもう光景になる
私も僕も美しい
清く正しいから
まだ何も守れていない
殺されたいほど思われたい
星が欲しいと思いたい
それを誰かに言いたい
笑い飛ばれたい
吹っ飛ばしたい
にじりよる暮れの息吹
虹の温度と
ちちんぷいぷい陳腐の呪文
十七歳の天才
きみから破壊して
破片の鋭さで傷つきたい
痛い
遺体を欲しい
したたっていた生の名残
それがこの星の成り立ちだからだ
うまく、できない
できていたことまでができなくなる
なんで好きになっちゃったんだろう
どうして思い通りにならないんだろう
運命って言葉で片づけたくない
だけど早く楽になりたい
たくさん時間を費やして
おとぎ話のように暮らせたらいいのか
呪いにかかったみたいに惚気てる
ある人は怒り出すかもな
ぼくはこんなに優柔不断だったのかと
あのころのおまえに戻れよと
迷いやためらいと無縁の毎日だった
ときどきは後悔もするさ
だけど間違いなく色が増えた
ぼくはきみを真実厄介だと感じている
つめたい手があたたかくなること
だけど放っておけばまたつめたくなること
めんどうくさくて頼りがないな
いなくなると困るから目が離せないな
どうしてしまったんだろう
これはきっとバグなんだ
蜜蜂みたいにうるさい
甘いものなんか好きではないのに
オブラート
難解な言葉
嘘や棘
ちがうな
ただ好きなんだよ
認めなくても
三つ編み
そらされる視線
斜陽
刺繍のほつれ
きみを否定するきみが
ぼくのことなら肯定する
それでいいと思うんだ
まずはそれでいい
きみはぼくがなんとかする
夜空より途方もない雑踏で
迷わないように名前をつけよう
なにひとつ平気じゃなくても
不安は覚えていないんだ
心は自動装置だから
まちがえば苦しいし
ただしいときには高鳴るだろう
何も信じられないとき
からだに耳をすますんだ
ぼくたちはお互いのおまけなんだよ
顔も似ない生い立ちも違う双子なんだよ
傷の痛さはどうしたって伝わらないよね
でも教えてくれればてあてができるよ
訴えることの意味はそこにあるんだ
絶対的に完璧な共有なんかじゃないんだ
凍てつく街を抜け出してわかったこと
わかりたいと思えたとき
ようやく命が降って来た
まだからっぽだった二人のたましい
カラメリゼの空
透明度と引き換えに投影する
何百年も昔のように不可侵な
一緒だったと思っていいですか
あなたがのこそうとしたものを
ぼくは正しく受け止めていないだろう
今ここにいたってそれは可能ではない
言葉を交わしたって離れていくだけ
上下左右の鎖から解き放たれて
遊泳してるんだ胎内より広くを
何も決めかねて何者にもなれない
そうしているうちに輪廻に乗り遅れる
メリーゴーランドは記憶の中にしか
存在しないと思っていたのに遊園地
夢にまで見た観覧車とすみれの庭園
のこりの週末がいっきに来たみたいだね
笑顔くらいつくれるよね
あなたはやさしいから
ぼくを困らせたりしないんだろう
ぼくは困ることもできないだろう
ようこそ
おとぎだらけの国へ
ようこそ
匿名で安心の劇場型逃避行
日陰と夜ばかりをえらんでまっすぐ歩こう
あたたかい記憶が邪魔をしても
顔を隠して手だけは離さないでいよう
生まれ変わる日なんて来ないから今を生きよう
ポップコーンではお腹いっぱいにならない
羽みたいに軽いんだもの
いま食べたことももう忘れちゃうようなさ
こんなにもぼくたちに似通ったもの他にあるかな
川を流れる水よりもそれに映る星の光よりも取り返しのつかないこの時間をどうか大切にするといい。あなたにはまだわからない。それがどんなにしあわせなことか。幸せはいつも失われたときに輪郭を持ち始める。だから大抵はみんな幸福だった。太陽と月のうわさばなし。おたがいのことをおたがいよりも知っているのにね。それを直接伝える手段はない。風やこどもに委ねるだけ。信頼が生まれて絶対の存在にも愛嬌が宿る。備わらずに欠陥となった部分は絶好の注ぎ口だから。あなたはそのまま持って生きておくといい。きらいなところ。にがてなこと。どうしても克服のできなかった、あなたのよわい部分。それなくしてどうしてふたりになれるだろう。会話の意味。沈黙の心地よさ。つむじをじっと眺める。長い夜も短い朝も好きになれる。靄の中を手探りで歩いたって怖くない。あなたがいつか出会えるよう、ぼくはまだ土の中で祈ってる。その時は必ずあると信じてる。祈りとは信じること。願いとは一方的な約束。たとえばあなたが輝かなくても、たとえばあなたがぼくを忘れても、それはもはや関係のないこと。あなたを見送っている。あなたを慕っている。本当にありがとう。愛は絶えなかった。
憧れはいつか鎧を着て
好きを戦わせなくちゃいけない
輪郭のドレープが優しくて
守られることの終わりを見た
くらべるものではない
ラベルを貼られるものではない
そうは分かっていても
物語は勝手に始まりぼくは演者となる
魔法使いが言う
ままならないことを望んだだろうって
そんなわけないじゃないか
だけど理由が思い浮かばないんだ
暗号を解読したくなかったからなのか
うなじに手を伸ばしたくなかったのは
疑い出せば信じ抜くようになる
何者でもない地点からまだ動き出せない
寄り添うような恋をしたかったけど
たちまち愛と勘違いされる
あいまいな境界すくえない少数派
火を起こすには摩擦の程度が足りてないんだよ
実物を知らない描写が無邪気に君を蹂躙する
どこかで思ってるんだ、くじけてしまえって
ぼくのやっていることは真犯人より
ずるくてみにくくひどいことかもしれない
ぼくの憎んだあのひとが
悪役でしか生き残れなかったように
ぼくもまた配役を選び取る
正しいと間違いは表裏一体
まばたきしているすきにコイントス
偶然が世界を操作する
切り離されて繋がりたいと思った
確認を繰り返して純情はぼろぼろだ
やさしい嘘を口ずさもう
誤変換の果てでどこへたどり着くんだろう
次に生まれ変わったらなんて考えないや
信じることは怠惰だって知らないわけじゃなかった
どんな場所より居心地がいい
僕をダメにしてくれるから
それは上昇志向と無縁
インスタントの空気でも美味しい
傷つけられたことを
記録した媒体は押し流される
ほとんどむきだしの魂で
得体の知れない海を泳ぐ
ひとびとの足音
近づいたり遠ざかったり
波と大差ない
つまりいつか好きになれる
きらいな食べ物を教えて
邪魔しないようにするから
都合がいいのは愛の特権
何にだって生まれ変わってみせよう
あなたはずるい
だなんて至上の殺し文句
考えもしなかったけど
それ以外の方法では死にたくない
夜ごと連れて歩いたよ
誘拐された僕を見つけに
みんなが大切を疑う日に
さみしいを自覚する
綺麗なものから消えて欲しかった
鑑賞して浮き彫りにされるのは
耐えられない、もう
美しいは残酷だ
両腕いっぱいの花束をきみに
手持ち無沙汰にトドメをさして
平穏とは永遠にさようなら
僕以外を手にかけないよう埋め尽くして