漂流物をつかまえてあげられなくて
次を見送るぼくの失態を月だけは見ていた
新しい水曜日と真珠色した子猫だとか
優しいものばっか集めたつもりだったのに
頼みの記憶はいばらに包まれて引き出せない
女の子が憧れた十二月、何年経っても実現できない、不能
パイプオルガンが流れている地域で僕らは生まれた
条件を出せない状況とあてにしていない陽だまりの気配だけで
青空さえ見えればいいと思っていたおぼつかない時期
次に欲しくなるものが分かってもう手を伸ばさなくなった
あなたに追いつきたくなかった貝殻の浜辺
名前を刻むように人を傷つけていた
流れる血は何百年も前からの饒舌な沈黙
きみと呼んであなたと呼んだなれの果て
悲観する必要なんてどこにもなくても手がかりにすがりたい
誰にも分け与えることのできない僕の孤独が
今日も誰かを寝付かせる歌をうたいますように
まだ半分夢見心地だねって笑って
振り返らない葬列が救済になるように
百年先の朝陽だって先取って
この奈落に愛されないよう今を照らして