no.412

瞳はみんな澄んでいる。新しいから上を見る。そこに星以外のお祈りを見つける。山ほどあった思い出は簡単に捨てられる。知らなくて良かったことを数えたら指が少し余ったんだ。きみは数え方を知っている?(そして、それは、正しい?)傷つけ合う時間なんて無いはずだった。それでも僕たちは戦った。贅沢な反抗を実践したくて。そしてそれを伝えたくて。神様が不足して息も吸えない子どもがいるんだ。それは明日のきみであったり、今日の僕であったりする。美しいだけが正解ではないよ。だけど正解は美しいことが多い。そうあってほしい人が望むから。血の色を知る。血の色を知らない人のいることを知る。初恋に禁忌なんてあるんだろうか。答え合わせが怖くてまだ誰も口を開かないね。

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no.411

指先は覚えてる
頭はもう忘れちゃったけど
初めてあたたかかった
スープを切らした雨の夜

この先何度も夢に見るだろう
その点では呪いかもしれない
ぼくは何も生みたくないし
きみは何も持たせたくない

似ているんだよ
繋ぎたくないんだ
それがひとつの決断として
認められることがなくても

褒められたって嫌だ
忘れることも無いんなら
閉ざされた浴槽
もう過去を躊躇うの?

嫌いなことに向き合う方が楽だった
そっぽを向かれて当然だから
好きなものだけが怖いんだ
嫌われたら死んじゃいたくなる

簡単だね
そうでしょう
意味なんてない
ある人に会ったこともない

2+

no.410

暗闇に目を凝らしてる
どうか新しい光が
他にもう見当たりませんように
きみはすこし意地悪

手首を陽に透かした
思い出の中に秘密は眠る
真相は残酷になれなくて
ただ淡々と突きつけられた

知らなくても生きていけるよ
生きることって重要なことじゃない
だけど誰にでもできることじゃない
ましてや何度もできるわけじゃない

想像もつかない道のり
傷だけが印になって名前になって
誰も手をつないでくれなくて大丈夫
迷子だと教える人もいないなら

星座の斑点を皮膚に宿して
ぼくはぼくを運んで行く
計画はないという計画
旅になるかもしれない気配だけで

手紙なんて届かない場所にいて
ぼくと二度と出会わないで
そしてどうかきみを好きなきみでいて
願うだけならわがままなんて言わないでいて

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