【雑記】青くて丸いもの

七月終わりの詩をいま書いている。

五日ごとに一編を予約投稿しているからだ。詩の中ではあさってから八月で、その頃には環境も心境も変わっていそうである。数年前を思い出して欲しい。変わっていないところの中にもだいぶ変わっているところが見つかるだろう。

あのひとは詩を書くことを忘れた。だけどあのひとの生活の中に詩がなくなることはないと思う。一度触れたものを捨てることはないと思う。捨てたと思うのは勝手だが…。

紫陽花を部屋に飾る。とてもお得な花だと思う。一輪あるだけで花束みたいになっているのがすごくいい。遠くから見るとまるっこく楽しめ、近づいてみるとたくさん小さなものがあって可愛い。地球みたいである。遠くて丸い、近くてたくさん。

死ぬことを知らない犬の眠りを見る。地面を打つ雨が跳ね返ってその額を濡らしている。

痛々しいものは自分に似ていると思う。忘れるために学ぶことはいいことだ、目をつぶるよりも。
目をつぶることに期待しすぎである。暗闇に希望を持ちすぎである。それは何も消さないし隠さない。かえって形を教え、正体を明るく照らす。

ひとに生まれたらひととして生活をしないといけない。草にも猫にもなれない。

3+

No.813

恋と知らずに春と呼んだあなたへ
元気ですか
今日もバスは七分遅れですか
花屋の黒猫は引っかきますか

馴染んだでしょうね
あなたはどこにいても違和感がない
こちらは変わりありません
季節も時間もありません

春と言えば春
冬と言えば冬
そんな感じです
すべての人に向いた場所とは言えません

あなたが来る必要の無いところです
どうしても告白をしたかった
僕は汚れた目で見ていた
周囲の人間を世の中を

そして何より自分自身を
奇跡は毎日に溶け込んでいたのに
あなたは優しい
優しかった

不可能が可能になる過程
呪いが願いになる過程を見せてくれた
だけど僕は見ていた
思っていた

落ちていけば良いのに
裏返しだよとあなたは笑った
まさか、違うんだと僕は睨んでいた
歩み寄ったくせに理解してくれないものは

(キライ)、

明日僕は猫に生まれ変わるそうだ
通い慣れた病院の隣に花屋を探そう
記憶が残っていたのなら
体が覚えていたのなら

きっとあなたは僕を見てしゃがみ込む
引っ掻くけど優しくして欲しい
その傷を開いたら出てくるものが
僕が生きる理由だったと確かめたいんだ

3+

【小説】『ドラマチック・ハル』

車窓の額縁であなたと春が象られ、知ってる。と思った。間違いない、そうだ僕はあなたを知っている。錯覚だと信じたくなくて目を逸らす。目を閉じて深呼吸してまた目を開ける。風景のなかにあなたがいる。世界がある。なんて完璧なんだろう。呼吸も忘れる。吸うと吐くを、どうしてたっけ。なのに鼓動は勝手に高鳴ってる。身に着けていた鎧も、いつしか厚くなっていた仮面も、あっけなく消え失せた。セピア色の本から視線を上げ、あなたが言う。何かを僕に。声が体に染みて透けて意味が通らない。自分に向けられるその音を欲していた。電車は光のただなかを行く。外はこんなに明るいのに、耳元ではずっと星屑が流れるんだ。「血、出てます」。上唇に手をやって、ああ自分の血のことかと理解。裏切られたと一瞬思う。でも、春だ。だけど、春だ。なんなら桜並木を歩きたい。第一印象がどんなに情けなくたって、いつかあなたの一番になるよ。ずっと前、生まれるもっと前に誓ったことを思い出し、僕は第一声を発する。新しい風に百年が弾け、あなたは自分でも気づかずに、知らぬ僕の名を懐かしく呼んだ。

4+

【雑記】平熱を知らない

1ヶ月先の投稿まで予約できました。書いてすぐ出すのも良いが、時間を置くと書いた時の気持ちが薄れているので「読者」として出会える確率が高まりそれはそれで面白い。へえ、あ、こういう感じね。みたいな。

今週は数年前に書いた小説を折り本にする。今月30日からネットプリントできる予定。もしよかったら、いや、よくなくても印刷して読んで欲しい。30って明後日か。

1週間前から風邪をひいていてたぶん治りかけ。38度の時にもやってたことはこれからも続けていけるものだと思う。私は飽きっぽく離脱しやすく捨てやすいので、体調不良をおしてでも取り組めるものがあるならそれは本当にありがたいことだ。何が大切かわからない時は一度手離してみると良くて、お金とか時間を払ってでも取り戻したいならそれは大切だったんだよ。まあ人間関係はそういうわけにいかないが。

4+