恋と知らずに春と呼んだあなたへ
元気ですか
今日もバスは七分遅れですか
花屋の黒猫は引っかきますか
馴染んだでしょうね
あなたはどこにいても違和感がない
こちらは変わりありません
季節も時間もありません
春と言えば春
冬と言えば冬
そんな感じです
すべての人に向いた場所とは言えません
あなたが来る必要の無いところです
どうしても告白をしたかった
僕は汚れた目で見ていた
周囲の人間を世の中を
そして何より自分自身を
奇跡は毎日に溶け込んでいたのに
あなたは優しい
優しかった
不可能が可能になる過程
呪いが願いになる過程を見せてくれた
だけど僕は見ていた
思っていた
落ちていけば良いのに
裏返しだよとあなたは笑った
まさか、違うんだと僕は睨んでいた
歩み寄ったくせに理解してくれないものは
(キライ)、
明日僕は猫に生まれ変わるそうだ
通い慣れた病院の隣に花屋を探そう
記憶が残っていたのなら
体が覚えていたのなら
きっとあなたは僕を見てしゃがみ込む
引っ掻くけど優しくして欲しい
その傷を開いたら出てくるものが
僕が生きる理由だったと確かめたいんだ