no.304

どこまで届くだろう
そんなこと考えずにボールを投げる
白い魂は吸い込まれるように高く上り
何か見つけた地点に無事落下する

虹のような偶発性はない
だけどほんとうは全部決まってるんだよね
赤いハンカチの縫い目に大人たちをみていた
まだまだ子どもの僕たちは

聞いたことがないのに汽笛だとわかる
誰かを置いていく人
誰かを見送る人
始まりと終わりはいつだって切ない

頬の下に木目がある
その匂いを体いっぱい吸い込む
満たされるのはせいぜい肺くらいだとしても
生まれ変わらなくていいように今呼吸をする