no.303

テーブルマナーは上等
ほかの命を食べ残し
明日出かける海岸について
うわさ話を楽しんでいる

箱詰めされた子供たち
知らないということ
ここではもっとも尊くて
人々はたまに遠くを見た

捨ててきた故郷
残してきたクラスメイト
抗菌の徹底した空間で
孤独なウイルスに恋しながら

漂着だけが頼りです
名前も性別も知らないけれど
留まることはできません
これはいったい誰への言い訳

雑音が重なり過ぎて透明になる
風景に溶ける
違和感をたたえたままで
昔からそこにいたように実在する

指の間から落下する煙草
やっと辿り着いた答えが紫煙に消える
くぐってもくぐってもたどり着かない
あの波のむこうはもうこの世ではない