計画はいらない
ふたりは海を山をこえる
この星から出たい時には
夢を見ることした深い夢を
つないだ手のあいだから
種がこぼれることがある
それは土に埋めると金を生む
だからふたりは旅ができた
ある人がふたりの手を欲しがった
ぼくたちのうちいつも左のほう
ぼくじゃないほうが右手を奪われ
ぼくたちのうちいつも右のほう
ぼくの左手が奪われ
遠く遠くへ行ってしまった
ふたりは初めてばらばらになった
行き先がまとまらなくなってきた
やがてひとりずつ行動するようになった
でも金曜日の夕方になるともうさみしくて
たまらなくさみしいからまたふたりで歩いた
ぼくたちは続けて旅をした
確かめ合うためだったかもしれない
お互い以上に安心する場所はないと
ある国で犯人を見かけた
そいつはふたりの手をつなぎ合わせて
富と名誉を獲得することに成功していた
その晩犯人が殺された
現場からはふたりの手が消えていた
だけど警察は気づかなかった
ぼくたちは手を取り戻した
だけどもうくっつかないから
洗濯物が流れてくる川へ捨てた
犯人には子どもがいた
まだ小さな子どもだ
双子の
ぼくたちは後戻りした
自分たちで双子を育てることにした
双子は無口だった
子どものいないぼくたち
親を殺された双子
川を流れていく二本の手
過剰でもなければ
不足もしていない
愛と幸運のクロニクル