ほんとうに何もいらないんだ
嘘だと思われるから
欲しくないものでも並べるんだけど
同じ日を繰り返す時計
氷でできた枯れない花
日によって色を変える小鳥
差し出せるものを差し出させてあげる
無駄なことを強いてあげる
それで相殺される何かがあるんなら
引き換えにできないものなんてない
かけがえのないものなんてない
時が押し流せないものなんてない
それが口癖だったのにね
口癖にまでしないと
自分を騙せなかったんだよね
わかっていた
だからお互いさま
この名前はもう呼ばない
あなたはいつも
ぼくの向こうに誰かを見ていた
ぼくではない、ぼくの知らない
気づいていたのかな
あなたはきっと忘れない
忘れないまま生きていくのに