no.291

落ちていく
どこまでも
真綿のクズと一緒に

突き飛ばされたのか
足を滑らせたのか
それとも自分で飛んだのか

落ちていく
そう怖くはない
もしかすると地面は来ない

こうなること
ずっと知っていた
ようにも思う

丘から見下ろすように
人の作り出した
橙の営みを見ていた

登るように
落ちていたって
涙がこぼれそうだった

ひとつひとつの窓に
これまでの僕が見える

笑っている怒っている
悩んでいる眠っている
疲れている回復している
疑っている信じている

しんじて、いる

いつか終わること
これからも続くこと
報いられること
裏切られること

それでも
それを
しんじてる

ちぎられた手紙が
花びらに変わる
この世のものとは思えない

それを表す言葉はない
君に伝えることはないだろう
体感することでしか知ることはない

そうだった
僕たちはひとりひとり
ひとつひとつの入れ物だった

それを忘れて
それに抗って
それから逃れようとした

ガラスが破裂する
活字が散乱する
手が伸ばされる

ありもしない声が聞こえた
遠ざかる日々の中から

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