no.290

火と雪ならいいのに
近づかないことの理由になるでしょう
言い訳を考えなくても済むでしょう
つまり平和ってことだった

僕は文節を脱臼させて遊ぶ
君は星空の下で眠るだけ
残念で心細い
いつまでもはそばにおれないこと

正気に戻ると狂ってしまいそう
だからティースプーン一杯の毒を
狂気は羽毛より柔らかく包むから
誰にも文句は言わせないよ

いつか後悔するんだろう
今その手を離したこと
弁解の一つもしなかったこと
幸せになれるなんて嘘をついたこと

絶望がなければ童話は要らない
最後の日を終えたらまたベールを被り
死者の吐き出す言葉の列に加わる
そして僕たちはまだ誰も知らない歌をうたおう