no.288

地獄に行きたかった
悪党と友達になりたかった
血の海で溺れた話
他人のする命乞いのことを聴きたかった

だけど取り囲むのは白い花だった
つくられた純潔でも
それで満足する人が多かった
または満足したふりをできる人

蜘蛛の巣で髪飾りを作ったり
黒猫に名前をつけてあげたかった
あなたたちは知らないだろう
あれがどんなに寂しがりやであるか

鍵のかかる棚の本が読みたかった
口にすることを禁じられた歌を歌いたかった
ロープの張り巡らされた森の入り口をくぐって
致命傷を負った脱走兵に会いたかった

待っていた
棺の中で待っていた
腐らない体は退屈でしかない
涙の一粒も拭えないくせに

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