no.283

どんなにお金を稼いでも
美しいと信じるものに使いたい
それにお金を集める力がないのなら
だけどそれはそんなに要らないよと言う
僕は悔しくなってもっと稼ぐ
無理をしていると思われたと思ったから
だから僕はそんな心配をかけないよう
もっと頭をよくしてもっとたくさんを稼ぐ
それは僕にお金より大切なことについて話す
僕は笑いながら聞いているが
そのうちそれを殺してしまう
なんでわかってくれない
おまえなんか僕がいないといないのに
僕が消してしまったのでそれはもういない
同じ日の夜に僕もいなくなった
そして僕はもう一度蘇った
何かをし忘れた気がして
それが何かはまだ思い出せない
なんとか今までのことは思い出したんだけど
それと呼んでいるもののことは思い出せない
それに見られていると僕は緊張していた
ずっと前はそれに育てられた気もする
どうして僕はそれから離れてしまったんだろう
本を読んだせいだ
たくさんの話を知ってしまったせいだ
僕はそれと僕のいた頃に戻りたい
戻ってもう二度と何も知らなくていい
それは僕に優しかった
それは僕にとってすべてだった
そんなあり方は危険だよと教えてくれた
そしてそのとおりになった
僕は道を歩いている
閉ざされた家の扉の前を
蔦が這った城壁のまわりを
死んだものと生まれてくるもの
いつか数が釣り合う日は来るんだろうか
僕はそれを思い出せない
僕はそれを思い出したい
歩き疲れて倒れ込んだ石に
それの名前が彫られている