神様が意地悪だなんて
思ったことはない
夕暮れ街を自転車が滑る
なだらかな二等辺三角形
空に光るためらい傷
瞼のような切れ込みから
僕の「生きたい」が降ってくる
この世の何も濡らすことができない
誰もが進行方向ばかり見てる
方向指示器の不協和音
だから余所見はよく目立つ
蛍光色の看板の前
何かを待って佇んでいる
君と、目があう
そこにまた別の「生きたい」が見える
僕たちは名前を言わない
お互い知り合うことはない
せつなと知って記憶にとどめようとする
こんな恋があったっていい
どうせ夜には忘れちゃっても