no.23

綺麗で短いものが好き
ナイフも時間も
すり抜けた不条理
屋上から降るスパンコール
デコレーションできる領域の有限性
生まれた場所を捨ててきたあなたが
いまもその土地の訛りで喋っている
ガラスについた雨粒が描く模様を
眺めていると有限性なんか幻だと思う
綺麗で短いものなんかこの世にありませんと言われる
粒は景色を包み込んで転がり落ちる
虹の出ない雨上がりに白い傷痕
青い空の下で薔薇という文字の練習ばかり
あなただって何をしたっていい
絵を描けない歌も歌えないぼくの隣でなら