口にしてはいけないこと。疑問を抱いては生きてけないこと。もっと上手に誤魔化して平然と享受する方法もあったね。悪いことじゃないって、言ってもらわなくても分かっていて、いちいち砕け散って再構築を繰り返さなくても、不器用なまま人を愛せたね。浸透を拒んだ。儚くないことは醜くて、血が出ない程度に噛みしめる計算高さなんて死ねばいいのにと思っていた。私が生き急いだぶんだけ君の命が延びれば良いのに。僕が嘘をついたぶんだけあなたが輝けば良いのに。因果の法則を狂わせながら、それでも続きを見たかった。私はいつまでも幼稚で、僕はいつまでも無知で、世界はどこまでも他人事で、指先から滲み出た魂は、せめて見えている範囲の空の色を変えるほど鮮やかではなかった。飛び立った後の巣には青色の花が咲いていた。触れるだけで明日を書き換えられる人、同じだけの力があるって信じられなかった。不自然でないよう身につけるための仕草を罫線に重ねて書き出した。また一つが終わることは誰のせいでもなく自分のせいだった。規則に則り回転する天体、マドラーで夜空をかき混ぜて混乱に陥りたい。刷り込まれた星座を書き換えて、誰かには知ってほしい。なんて、わがまま。なんて、独裁。食い散らかした退屈がビスケットの屑のように細かに私の夜空を彩る日、僕は俯いて同じ一節を繰り返しつぶやいている。僕が頼りない一糸に音楽をこめる一瞬、私の唇はその旋律のために縫い塞がれてしまう。