ぼくたちの町の真ん中にある
緑色のガスタンクは卵みたい
何年も何も生まれては来てないけれど
もしかしたらもう空っぽかもしれないけれど
それにはちいさな梯子が付いていて
許されればてっぺんに行けるようだ
ぼくたちはそれを禁じられているけれど
いつか登って見下ろして飛んだりとかしてみたい
そばの倉庫で首つりがあったみたい
いちばんいい夜を選んだよ
誰もが眉をひそめながら笑うなかで
本当に素敵に感心してる人だっている
いちばんいい夜がみんなに訪れるといい
そう思える一日がまたあるといい
誰かが誰かを殺したときだけじゃなく
たまに不定期にぼくを襲うといい
えたいの知れない愛みたいなものだとか
あふれればいい
排水口が詰まったみたいに
綺麗じゃないところからふいに
何かの間違いみたいに
流れに逆らって方向転換する
信じたものを疑うわけだから
棘がささったりするけれど
抜かなくても死なないでしょう
顕微鏡の奥に広がる世界
誰から何をされても嫌な顔ひとつしない
それはぼくの特技であり生存条件だった
きみの細胞とレンズ越しに目が合う
バラバラのときだけはみんな可愛い