no.255

生まれてくるより前に
どこかの国の
誰かと誰かで
酷くさみしい別れを
したんじゃないのか

あなたが目を覚まして
顔を洗うときに
シャツの下
肩甲骨の出っ張り
鏡に映る
ドラマチックでない朝

驚いた顔をして
なんで泣いているのって
振り返っても同じ顔があって
これは夢じゃなかった
あなたはいつも自然だ

長い坂をどこまでも
陽炎に揺られて
行き着く先がどこででも
転がって良いんだと
何も後悔しないような毎日

何度でも出会いたい
あなたが本当は
僕を殺す人であっても
その瞬間に
一時も躊躇わなくても

受け容れるのだろう
文句はないのだろう
もう一度出会いたい
形容詞のない運命
壊れてでも試されたい