no.249

いろんなライトの色にくるまって眠るのが好き。匿名じゃなくなるのって安心する。秘密を奪われるのって。何か話して相手が眉をひそめるとぼくは正しいんだなって思う。ピンク色が一箇所に集まって誰のもとにも戻らなくなっちゃったからこんなに高く売れるんだよ。わかる、あの子がくわえていたカミソリの味、プールの水面の色したラムネ、虚構の純喫茶でティータイム、流れる血とは無関係のセラミック、それを青春だの呼ぶこと、欲しくて欲しくて、憧れて憧れて、それでも手に入らなかった時にそれを本当には望んでなかったからだと気付いた。田舎も都会も星の数はおんなじ。使い古された言い回しが道端に捨てられていてその栄光をかじってまた捨てた。拾ってまた捨てた人になりたくて。それだけ。ふと前方に現れたのは女学生の後ろ姿。追い越して見ればむかし僕の男だったやつ。やっぱり。意地悪じゃなくてまだみんなに内緒だった頃の合図。舌を見せよう、そこにはもう小さな刃物のないことを証明しよう。お互い晒した赤い舌は着色料に染まってたけど、ああ、そうだ、これが欲しくて眠らない夜もあった。僕たち今は話せる。空のこと。先生のこと。握っていたペットボトルの味についてや、履き倒したスニーカーのこと。張り詰めてて何も話さなかったあの頃。変わったねと言った。まだまだ変わるよと答えがあった。変わらないほうが危険なんだよ、そのほうが。ピアスの穴、とじたんだ。合わなかったから。でもわかるよ。ここにあったの。消えないのかな。消えないよ。この傷はなに。今の男。彼氏。何歳。七歳年上。上司。そう。まじで。うん、まじで。その格好は。彼氏の趣味。いや、おれの趣味だけど。そう。おまえは。女の子だよ。目が覚めたか。男はもう良い、忘れらんなかっただけ。またまた。もう一度始めてみる。それいいね、と、言うとでも思ったかバーカ。ざんねん。本気でそう思ってんなら言え。お。お?お。出直していい?そうしろ。こんな田舎もうこないと思ってた。なんで。嫌な思い出しかないだろ。そうでもないけど、おまえもいるし、桃はおいしいし。未練。は、ない。笑笑笑。何も消せてなかった。それって最高じゃん。潜伏してただけ。生き延びていた。殺されなかったし死ななかった。最高じゃん。一番じゃなくても大切にするよ。お気持ちだけいただきます。そう。てか、足を閉じろ、おまえいまスカートだぞ。あらやだ、うっかりうっかり。うわ、かわいくねえ。釘づけだったくせに。冗談。笑笑笑。

幸せになれよ。
笑顔でそう言うことが自分への罰で、いつかのおまえへの復讐。
忘れない、忘れさせない、何度でも言うよ。
どうかずっと幸せに。
そのあとで叩きのめされてまたおいで。

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