no.247

気づいているか、それが命綱になっている。あなたが知らずに踏み続けてちぎれかけているもの。強くなろうとしても意思のないもの。いつでもあなたを守ることから逃げ出せて誰にも責められないもの。追われる身にはなりえないもの。ぼくはそれを切断してしまった者をたくさん見た。いっときは気が楽なんだ。それから自由になった気もする。十年と百年が過ぎる頃には何が起こったか忘れてしまってるんだけど、感覚だけ覚えてんだよ。生きていくことを決意しなくてもいい朝に、夜に、真昼でさえ、その声を聞かされるんだ。すべきことをしなかった。すべきではないことをしてしまった。それでも。いつかの悪態ひとつ違っていたら、この愛は生まれなかった。あなたなど地獄へ落ちるがよい。春の雪を、夏の花を、秋の海を、冬の星を、かぶせてあげよう。目覚めないで夢を。二度と、誰のためにも生まれ変われないように。