no.245

あなたは何でも好きになれるから何も幸せにはできないのだ。あなたはとても優しくたくさんのことを間違える。正しいことを行おうとしてたくさんの人を傷つける。わかっている、それでも、何もしないよりはよっぽどいい、傷ついた人もそのことで恨みは言わないだろう。だって救われたのだ。この言葉を使うとあなたはそんな大それたことと笑うんだろうが。報われたのだ。たったひとつで、たった一瞬で。ぼくのように。生きて行くよ、揺らした尾鰭が毒々しい色したネオンに照らされるだけの生き物になっても。死ぬまで殺すことはないよ、そのために長引く時間があるなら。眉をひそめる人の視線の先で、陽の当たらない物陰で、喧騒に絡め取られることのなかったささやきを見つけ出す。今度はぼくが、今度こそあなたの、ありかを探り当てたなら、もう一度息を吹き込んであげる。あふれんばかりの模造品の中でも間違わずに。目をつむっていても、応答がなくても、確信を持って、どんなにきつくっても、やっぱり懐かしいと思ってしまう、その眼差しひとつで。

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