no.237

何もないこの世から抜け出す最後の方法。きみの試した最大の失敗作。代替ばかりの部屋であの子はいつまでも入れ替わらなかった、そのせいで老化した、そして誰よりも伝説になった。夢は海の底にあると信じてからっぽな体を持て余す人魚たち。宝石はすべて乱反射の残像。ここにしかないものを探すから檻は狭くなる。たったひとつになれるなんて幻想をやめてしまわない限り。傷ついたくらい、なんだ。傷つけたとしたって、それがどうしたっていうんだ。きみは泡のように無数に撫でていくこと。僕の持て余す体を、あの子の空想の心臓を。