no.236

きれいに澄んでいくきみを見ていられないのは、きみだけはいつまでも僕に訴えないでほしいからかもしれない。遠いちいさな街で誰といますか。天気はいいですか。新しい猫がいますか。その子をなんと名づけますか。たまに昔話をしますか。そのお話の中で僕はどんな役割になるのでしょう。少しでも言い淀んでくれたらと思うけどそうならないきみを知っている。もし躊躇うならもうほとんど知らない一人になったんだ。僕たち美しかったね。あの夏、あの日々、起こることすべて悲劇になっちゃって。潰れた檸檬、多角形のグラス、保護された卒業写真。あの時にはあの時の。今には今の幸せがちゃんとあるってのに。太陽と月の鎖で結ばれて眠る。どちらが寝返っても引きずられますように。幻であってもそのことが変わりませんように。

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