no.227

腰の高さに積み上げられた平均的大衆。安堵の次に焦燥に襲われる、放っておけばそのまま発作になる。(君はこんなものがいいの?本当に?)。誰もが通った時間。後方の季節。つまづいただけで骨折しただなんて言えない。僕だって平気に走り抜けたかった。矮小化して何食わぬ顔で語りたかった。だけど、それが出来ないのなら。偽らない以外に方法は無いんだろう。僕が選択できて、尚且つ、呼吸を整えればまだ、あともう少し生きていけると言うために。誰の背後にも物語が亡霊みたいにあるって言われれば分かる、だけど一人一人は憶測することでしか他人を理解できない。だったら誤解されてでも自分を発光させるのがいいって言うのが君の立場で、そんなのできっこないって怖気付く潔癖症が僕の立場だった。演技は順調で二人は退屈に追いつかれることはなかった。誰かの凡庸な世界の片隅でちょっと目を惹く異質になってゆくこと。安心するだなんてそれ変態だよ。痛みに気づかないだけの強さがあったら良いのに。そんなもの望んでって君はまた鼻で笑うだろうけど。ガムシロップみたいな夏が来ても正体不明に溶かしてはくれない。一旦は全部ばらばらになるけれどどこかが原型を覚えてしまっている。だからただの分離。囲われた空間で行われるならいつだって戻れるよね。君にとっての希望が僕にとっての真逆なら、一緒にいる意味といない理由はどっちがおおきい?作為無くしてすべては正しい。真夜中、プールの水が冷たかったように当たり前だって思えたらいいね。一緒にいることもいないことも、その手が、指が、いつまでも動かないままなことも。潤んだ熱で僕を見下ろしながら次に何を言うの。