no.221

これは僕たちをあたためなかった光。まつげに宿った呪いを溶かし切らなかった熱。今になって差し込んだってすべてはもう手遅れなのだ。誰もが羨むほど遠くだ。遠浅の青。透き通る濃淡さまざまの砂粒が踏む者もいないのにしゃくしゃくと鳴る。あの夏の蝉の鳴き声に近い距離。秘密の書棚の陰で新緑に霞むあまい声。