no.217

自分に関わるものについてはすごくよく調べる。好きなもの。苦手なもの。怖いもの。苦しめるもの。だけどその情報は確かなものとは限らないし保証もないので何度か間違う。情報自体は確かであってもそれが自分の求めているものなのか、自分に必要なものなのか、そこもまた確かではなく保証もない。だけど、それでもそれで事が足りてしまうことはある。自分の中で、当初の疑問や悩みが回答に合わせて形を変えたのだ。その他、必要でないものでも、見つめているうちに面白くなってきたりして無我夢中になるのだ。人のやっていることはワンツースリーのスシンプルテップじゃなくて、行ったり来たりのねちねちぐるぐる。本人も気づかないうちに思いがけない場所を彷徨っていたり、見知らぬものを口にしていたりする。すべてをコントロールすることはできないけど可能な限りそうしたいのならば、まずは出発点を間違えないこと。あるいは、間違ってもいいという覚悟でいること。だけどどれだけ見越しても自分は変わるし他人は関わるし周囲も影響してくる。何も何も思い通りにならないこともある。駄目だと思ったら篭るのも良い。閉じることで開ける世界もあるから。他の意見が聞けない時は徹底的にシャットアウトしてビバ独断。暗い場所でしか見つからない石もある。何重にも茨の枝がはりめぐったような道をみんな歩いているのだ。柔らかなものに触れて怯える。そろそろともう一度伸ばしてみる。向こうも震えている。なるほどと思わずつぶやく。同じだったのだ。その掌にそっと書いてみる。自分の名前。すると返答がある。棘を覆い尽くすほどの花が咲き乱れて地面にこぼれ落ちる。まるで水面の張力。不気味に歪んで取り返しがつかないほどおかしくなった場所でしか、繋がらないものもあるんだった。そのことを懐かしく思い出す。