no.13

六月のプールサイド
ジェリーが光を封じる
教室からカノンが聴こえ
悲鳴は慎ましくかき消される

明け方のぬるいアスファルト
落とされた者たちのつかの間の楽園
所在無さげにまるまった小さな命
玄関先のリズミカルな足音

かのひとの遺言を諳んじて
空き缶に活ける花の影
やわらかな手のひらに爪を立て
きみのすべてがぼくを愛している