no.204

足場のある世界は今日で終わりです。あなたは道なき道を行くことになります。ここから先はたった一人でこの青い瓶と黒い杖を持って行くのです。途中で道に迷うでしょう。あなたを罠に陥れようとする魔物は、あなたにとっていちばん優しい姿で現れるかもしれません。真実を知っても知らなくてもあなたは深く傷つくでしょう。それを待っている生き物もいるのです。何もかもうまくいかず病に冒されるでしょう。救いの手は見つからず、またしても何かがあなたを騙して吸い取るでしょう。起死回生は準備されていません。あなたはあなたが忌み嫌った世界がいかに無数の労りの上、思いやりという作為の上にかろうじて成り立っていたかを知るでしょう。青い瓶には涙をためることです。黒い杖は防具にも武器にもなります。自分の身を守ることも他人の身を守ることもできますし、敵とみなした存在を殺傷することもできます。しかしあなたは知っているのですよね。あなたが敵とみなした相手にも家族や友人があり誰かにとってのかけがえのない存在であることを。旅の仲間は必要ですか。望めば道中ひょっこり登場させてあげましょう。まるで運命のように。あなたがたは信頼関係で結ばれ、それゆえに依存する。やがてそれがために疑心暗鬼となり虎視眈眈と隙をつこうともがくのです。しかしあなたは気づいてしまうでしょう。自分にとって危険な存在となりうるものを排除するならばついには孤独になってしまうことに。あなたはがんじがらめ、二進も三進も行かないとはまさにこのことです。あなたはふと後ろを振り返ります。捨てて来たもの、去っていったもの。数え上げればきりがありませんね。自分の歩いたところが道となり、それを辿ってくる影さえ目に入ってくるじゃありませんか。あなたは立ち止まってそれに尋ねます。ぼくは、ぼくはこれでいいんでしょうか。問いかけられた影はあなたを光で切り裂きます。なにがいけなかったか。次に生まれ変わるまで絶対に分からないまま、あなたはここでゲームオーバーです。悔しいのならもう一度、扉を思い描くのです。もっとも扉を開けた瞬間、悔しい気持ちはリセットされて同じ過ちさえ犯しますね。一向に構わないでしょう。何故ならあなたという存在は無限にいるので。追伸、私はそろそろ新しい結末を見たくて退屈しています。なんとかしてください。

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