no.11

おびただしい数の丸が集まって液体になる
その中で溺れて死んでいく感覚を妄想すること
止められても忘れないでいたいと思う
いつまでもいつまでも
硝子瓶の底にも蜘蛛は巣を張る
逃したくないと思っていたいんだ
懐かしさを共有できるひとが少しずつ別の場所へ行って
まるで真新しいもののように迎え入れる世界へ踏み込んだとしても
胸や頭の中で鳴り続ける例の音のように
笑われたってしようのない痙攣のように
奪われたら発狂するくらいかけがえをなくしていきたい
昼の彼方で静まり返ってすべてを内包するあの夜や
そこからわずか零れ落ちてこの掌に落ちるしかなかったきみの不幸も