no.10

青い丘陵を踏みしめながらぼくは
最初で最後の言葉を探している

手紙に書いて封をして
検閲の無いポストへ入れようと思う
白い手袋が汚れるまで何度でも

あなたはぼくにふれない
ぼくはあなたを傷つけたくない

どちらも火薬みたいにおとなしい祈りだ

雛が空から落ちて行く
夜からは星が
地からは呪いが
ぼくからは文字が

微熱いまだ冷めやらぬまま
滲んだ雲のしたで
夢のように繰り広げられると感じる
あなたは今日も誰かを好きになる