no.192

両手で掻き取った砂の轍
正しさを追求して冷血になった
忘れられない背表紙が
ふいに大きな意味を持って迫り来る
悪夢の類は真昼にこそ訪れた
淡くまばゆいだけの日常に炙られて
きみたちは差し引きゼロだと主張する
だけどぼくはそんなもので
愛を帳消しにしないんだと跳ね除ける
綺麗事と絵空事にまみれていい
大人にならないことを責めてもいい
背骨は柔らかく知恵は少ない
降り注ぐ光も花も言葉の呪いから解放される

ぼくは祈る、ぼくに降れ、ぼくは祈る、きみに降れ、きみたちに降れ、ぼくたちに降れ、わかり合うことのない者達の上にそのままの姿で、光よ花よ、降りしきれよと。