no.189

星を数えていない。数えるふりをしているだけ。何も見ていない。見えるふりをしているだけ。観察している。知ろうとしている。私を救うものが何であるのか。探している。求めている。祈っている。それがどこにもないことのありませんように。手繰り寄せたいときに切れ端さえ消えている。あんなものでも欲しい人のあったのだ。血だけが流れて名前も与えなかったのに。音にも色にもならない、ただ吸われて吐かれるだけの。誰にふれられなくても悪夢は虹と溶けた。私が信じるものについて話すときに。よりによってひたむきに。まだ残っているものがすでに失われた感覚になる。認識しながら何も分からないふりをすることほどの贅沢はない。すくなくとも私は知らない。星はいつも遠くにある。その途方もなさが今日も君に残酷な殺戮を思いとどまらせる。生まれたばかりの目に涙の柔らかく盛り上がる、誰もふたりを知らないでいる夜明け。星と君を書き違えた。やましいばかりの生存欲求。生きろなんて言えない。もう一度夜にならなければ。