no.188

僕はそれが自分のためじゃなくなることを恐れた。我を忘れる。食事が喉を通らない。色が分からなくなる。景色が鮮やかになるなんて嘘だよ。暗い氷に閉じ込められたんだ。さもなくば夥しい光の粒に溺れた亡国。これが呪いでなくてなんだろう。誰のためにもなりたくない。考えることをやめた。みんな一斉に。幸せになった。最後にはなりたくないから順に。二つの笑いを同時に浮かべて。夢を見たのは誰と誰。逃げるより留まることを選んだのは。変わるより染まること、求めるよりただ寄り添うこと、愛しいと言わないままふれることを、選んだのは、誰と。