no.186

きみにはわかりっこない。そのことを希望や絶望って呼ばないで。だれともわかりあえっこない。そのことが天国や地獄とつながったりはしない。一度決めたら動かせない。ぼくは冷たいって言われる。それなりに探したこともあった。なぜ同じ時に泣けないの。なぜ同じものに喜べないの。先生の上には真っ黒な墨で言葉があって、それは破裂した瞳みたいだった。分解されてなお集団を見張る強くて不器用な何かの化身だと。ぼくは立ち止まる。まだ流れない。ぼくは歩き出す。やっぱりまだ流れない。血も汗も涙もこの体から出て行かない。一滴も。風が吹いて聞きなれた声が耳の裏でまた囁く。おまえは冷たい。そう。それが、どうした。悲鳴を聞かせたこともないのに。

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