今ここでおまえを拾う。いつか私を救うかも知れないから。ふりかえるな、ふりかえるな、終わりあるものはいつも良きものに見えるもの。誤るな、誤るな、それはやがて形を変えるもの。引きずられるな、引きずられるな、それは回復したらやがて飛び立って戻らないもの。それでもいいか。おまえにとっての私がそれでもいいかと、ずっと誰かにたずねたかった。できなくて寝顔に語りかけた。おまえはたまに意地悪で頷く。あたかも夢のつづきみたいに。私はおまえが思うほど軽々しく憂鬱なのではない。そう反論したところで滑稽に映るだけ。だから黙ってただそこにあろうとしていつも失敗をする。おまえはいつも、胸が苦しくなるほどの褒賞をくれる。身に余って歌になる。他人の唇からこぼれ落ちて、どこかの出会わぬ子どもの悪夢を切り裂く光にでもなるんだろう。なるんだろう。私には今、そうとしか思えないのだ。決してそうだと告白はしないが。