No.831

夢を見たんだ、
ああ、ぼくはまた夢の話をしてる
きみは退屈でないかな
自分の夢の話ばかりのぼくといて

理由になろう
そう言ったあなたが孤独だった
理由になってあげよう
水槽の中に居たかもしれない赤い魚のために

物語には柵がない
柵がないように見せているだけ
ただそこにあるものがあると信じたいから
そんなものはどこにもないと諦めたくないから

みんな無理をしていて
敏感に察知する人に請け負わせてる
絶望とか失望を請け負わせてる
最後には利口な子どもが旅立っていく

きみの夢の話が好きだよ
善意も悪意も脈絡も無いもの
きみの脳味噌がつくりだした寄せ集めが好き
氷が溶けて音を立てる

ぼくは普通になれません
普通の人なんてどこにもいないと
知った顔で言うおとなを信用しません
だから子どもなんだよ

今年もまた記憶の景色で花開いた
花開くまで気づかなかった
同じ場所から進んでなかったね
赤くちいさな魚はとっくに水槽を出てったね