No.828

Deleteで消せる記憶のなか
きみから僕へ向けられた想いを見つける
今になって気づいたんだ
暗号の鍵は時間でしか無かった

唯一無二になりたかったな
求められた以上を捧げたかったな
空が青いことを恨みたくなかったな
勝ち負けで考えたくなかったな

願えば願うほど美化されて劣化する
僕が好きなきみを変えてしまう
幸せを願いたいわがままも
忠実になれなかった願いにも

同じ行間をたどっている
ページをめくれないままコーヒーは冷める
見知らぬ人の笑顔が僕を嘲笑って見える
向けられた誰かをたしかに幸せにするものなのに